2010.01.03
陽暉楼
大正から昭和初期の高知、西日本一を誇る遊興場である陽暉楼を舞台に繰り広げられる男女の人間模様を描くドラマ。原作は宮尾登美子、主演は緒形拳に池上季実子、「鬼龍院花子の生涯」の五社英雄監督に脚本は同じく高田宏治です。
大正元年、冬の高知。太田勝造(緒方拳)と駆け落ちした芸妓の呂鶴(池上季実子)は、追っ手の手にかかり命を落とします。
そして20年後の昭和。勝造と呂鶴の間に生まれた房子(池上季実子)は、西日本一を誇る土佐の陽暉楼で一番の芸妓になっていました。女将のお袖(倍賞美津子)は、かつて勝造をめぐって呂鶴と張り合った仲。しかし呂鶴の娘房子を土佐一番の芸妓に育て上げ、陽暉楼を継がせるつもりでした。
芸妓を紹介する仕事で今や「女衒の大将」と呼ばれるまでになった勝造は、大阪で珠子(浅野温子)という若い女を囲っていました。勝造の心に住む呂鶴に気づいた珠子は陽暉楼に身を売ろうとしますが女将に断られ、遊郭に身を売る決心をします。
ある日勝造は、大阪の稲宗一家の賭場で丸子(佳那晃子)という芸者に再会します。かねてから高知進出を伺う稲宗(小池朝雄)は、丸子を陽暉楼に送り込み主人の山岡(北村和夫)をたぶらかして乗っ取りを画策していたのでした。
そんな男たちの思惑の狭間で、かたくなまでに芸に生きることを志す房子の周りが急にきな臭くなってきます。
土佐弁にみょーに親近感のある私にとっては、第二の故郷映画みたいなものですが、浅野温子や佳那晃子らのトップレスが拝見できる素晴らしい作品です(爆)。
で、主人公の勝造ですが、セリフや生き様が男らしいとかかっこええとかではなく、なんといいますか土佐の「いごっそう」の不器用な生き様がなんとも沁みます。
池上季実子自体は、個人的にはあまり好きではない。こういういわゆる日本人的な顔立ちというのは苦手で、逆にその昔浅野温子の大ファンだったので、むしろ彼女を中心に見てしまいましたが、全く異なる二人の登場人物の生き様の中に、「女のサガ」の悲しさと男にはない「生きる強さ」を垣間見ました。やはり男は、三蔵法師の手のひらの上で遊ぶ孫悟空なのですなぁ~。
この世には「男と女」しかしない。そして「親」を持ち、子を産み育ててゆく。そのたゆまぬ繰り返しの中で与えられた数十年という「我が人生」をどう生きるべきなのか?
まごまごしてはいられない。「10年、ひと昔」、そして生きられるのは今日。
出演:緒形拳,池上季実子,池上季実子,熊谷真実,佳那晃子,仙道敦子,西川峰子,市毛良枝,大村崑,小池朝雄,風間杜夫,田村連,北村和夫,曽我廼家明蝶,丹波哲郎,倍賞美津子
監督:五社英雄 1983年
原作:宮尾登美子
BOSS的には・・・★★★★☆
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