2010.01.10
蘇える金狼
平凡なサラリーマンが野望を抱き、巨大資本の乗っ取りを企てる姿を描いたサスペンスアクション。今はなき松田優作が主演、監督は村川透。大薮春彦の同名小説が原作の角川映画。
大企業の経理課に勤めるサラリーマンの朝倉哲也(松田優作)は、夜間大学を出た努力家。しかしその程度のキャリアでは大企業での出世の道は閉ざされているも同然です。しかし彼は、仕事帰りにボクシングジムに通い体を鍛え、いつかは勤めている会社を自分のものにしたいという野望を抱いていました。
ある雨の朝、朝倉は銀行の現金運搬中を襲撃し1億円を手にしますが、札のナンバーが銀行に控えられていることがわかると現金を麻薬に替えることを思いつきます。街のチンピラから麻薬を裏で取り仕切る議員を聞き出し、組織の罠をまんまとかいくぐって大量のヘロインに変える事に成功します。
朝倉は手に入れた麻薬で、会社の上司である経理部長小泉(成田三樹夫)の愛人永井京子(風吹ジュン)を手なずけます。その頃、裏で私欲を肥やしていた会社のトップたちの横領をネタに、桜井(千葉真一)という男にゆすられていました。
それを知った朝倉は、こっそりと桜井の後をつけますが・・・
もう30年も前になるんですねぇ~。松田優作主演のTVドラマ「探偵物語」の大ファンだった私は、彼の映画はもちろんほとんど見に行ったものです。好きなんです、ああいうキャラ。
で、本作はまさに彼の為に書かれたような作品。あらためて彼の魅力を堪能させていただきました。
とはいっても、そもそもは癖のある大薮作品。私のような人間にはあっという間の3時間も、結構長いと感じる方もいらっしゃるのでは?全体的には薄暗い個性的な作品で、もちろん娯楽大作ではありません。
テイスト的にはフランス映画風といいますか、和風ジャン・レノ作品と言う風に見えなくもない。最後はアラン・ドロンか?サムライか?というエンディングを迎えますが・・・。角川春樹も例によってカメオ出演しています。
角川作品独特の匂いと松田優作のキャラ、大薮的展開が好きか嫌いかで、この作品の評価は大きく分かれると思います。真っ赤なランボルギーニ、乗って見たいなぁ~。
まあ、究極、愛はすべてを超え、愛はすべてを打ち壊すということでしょうか?
出演:松田優作,風吹ジュン,佐藤慶,成田三樹夫,小池朝雄,真行寺君枝,千葉真一
監督:村川透 1979年
BOSS的には・・・★★★☆
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