2010.01.11
チャイコフスキー ピアノ協奏曲 第1番変ロ短調 作品23
この時期になるとチャイコフスキーが聞きたくなる人のうち、強いお酒が好きな人はウォッカを思い出すから?私の場合はなんとなくシベリアの大雪原を恋しく思ってしまうから?クラシックファンの皆さんはいかがでしょうか?
ということで、ウィーンフィルのワルツで明けた2010年のクラシックイヤー。先日は心的疲労回復にブラームスなど聞いておりましたが、今日はチャイコのピアコン。これって実は今の今まで記事投稿してなかったんですよね!シベリアの大地には、深深と雪が降っているのでしょうか?
ピアノ協奏曲の中では、恐らく最もポピュラーではないかと思われるチャイコの1番。印象的な第一楽章の出だしの部分の序奏主題は、コマーシャルなどでもずいぶん流されています。
この曲については、ヴァイオリン協奏曲のときに少し触れましたが、1874年、彼が34歳の時に恩人で友人でもあるモスクワ音楽院院長だったニコライ・ルビンシテインに影響を受けて作曲した始めてのピアノコンチェルトです。有名なフォン・メック夫人からの資金援助を受けるようになる前年のことでした。
曲の仕上がりに自身を持っていた彼は、ニコライにこの曲を献呈し初演を委ねますが、草稿を聞いたニコライからは「この作品は陳腐で不細工であり、役に立たない代物であり、貧弱な作品で演奏不可能であるので、私の意見に従って根本的に書き直すのが望ましい」と手厳しい評価を受けます。
そこでめげなかったのがコサック魂!(?)。彼は当時有名だったドイツ人ピアニストで指揮者のハンス・フォン・ビューローへ献呈します。ビューローはこの作品を「独創的で高貴」と評し、翌1875年アメリカで初演。大成功を収めます。
先にお話した第一楽章序奏主題から、すでに私たちの前にはどこまでも広がるシベリアの大地が目に浮かびます。20分ほどもある第一楽章の第2主題にもウクライナ地方の民謡の旋律が使われており、そのまんま「ドクトルジバゴ」のあの世界が、むわーっと立ち上ります。
第二楽章も、絶対にロシア人でなければ思い描かないであろう旋律が美しい調べを奏でます。ラフマニノフとともに、そういうある種映画音楽のような美しさを女々しさとして嫌う硬派のクラシック・ファンの方もいらっしゃいますが、クラシックも民謡も音楽のうちのひとつなのであれば、固い事は抜きで美しい大平原を彷徨ってみませんか?この時期ならきっと、一面白銀の世界です。
演奏はアルゲリッチ。旦那のディトワ指揮、ロンドン交響楽団の演奏が、叙情性よりもスケール感を感じさせる雄大な演奏です。手元にはコンドラシン指揮、バイエルン放送交響楽団モノのありますが、息のあった演奏はやはり前者(笑)。
若々しさ瑞々しさに溢れた演奏なら、若きアシュケナージの演奏もなかなかです。こちらはコンドラシン指揮でオケはモスクワ・フィルハーモニー管弦楽団。チャイコフスキーの思いには、こちらのほうが近いのかも?
2010年も、クラシックに浸ります。
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