2010.01.30
VITUS 邦題:僕のピアノコンチェルト
両親からの過剰な期待を背負った天才少年が、自らの生き方を見つけてゆくドラマ。734作目の投稿です。
IQ(知能指数)が高すぎて測定不能とされた6歳の天才少年ヴィトス(ファブリツィオ・ボルサーニ)は、エンジニアの父レオ(ウルス・ユッカー)とコラムニストの母ヘレン(ジュリカ・ジェンキンス)の3人暮らし。母親のヘレンは少年の将来に過剰な期待を抱いていました。
そういう期待がプレッシャーとなってのしかかってくる毎日から逃れるように、ヴィトスは田舎で家具工房を営む祖父(ブルーノ・ガンツ)の元を訪れては、子供らしい生き生きとした表情を見せます。
頭がよすぎて幼稚園に通えない少年の世話をさせるため、母はヴィトスより7歳年上のベビーシッター、イザベルを雇います。祖父以外の人間に心を閉ざしていたヴィトスでしたが、次第にイザベルと仲良くなり、彼女に恋心を抱くようになります。
両親が留守の間に飲酒で泥酔した二人。ヘレンはイザベルを即刻解雇しますが、彼女と結婚することを幼心に決めていたヴィトスは、おさまらない怒りをピアノにぶつけます。
6年後。12歳になったヴィトスは、飛び級制度により高校に入学。しかし教師よりもはるかに頭のいい彼には、学ぶことは何ひとつありませんでした。信頼する祖父から「大事なものを捨ててみろ」とアドバイスされ、ある夜彼は飛べるはずのない羽根を身につけてマンションのベランダからダイブします。
のっけからシューマンのピアノ協奏曲が流れ、邦題のタイトルからしてもピアノマンとしての人生をひたすら歩む物語かと思いきや、両親、特に過剰な期待をかける母親との葛藤がメインでお話が進みます。
基本的にはコメディタッチになっていて、所々に笑いが埋め込まれているので、くすくす笑いながら物語が展開してゆくのですが、少年が株取引に手を出すあたりから、どうも現実離れの印象が強くなり、それまで築き上げてきた細やかな日常の折込みが一気に冷めてしまいます。
「ヒトラー 最後の12日間」で名演だったブルーノ・ガンツも、うって変わった地味な役柄ですが、微妙な人間関係をうまく演じています。
始めてみるスイス映画ということで、スイス・ドイツ語だったりフランス語だったり英語だったりと、なんだか不思議な印象でしたが、ヨーロッパの真ん中ってこんなんだろうなって実感。カメラワークはイマイチでしたが・・・。邦題は・・・最悪です。
クラシック好きの方に、IQが180を超えるようなお子さんがいらっしゃる方に!(笑)コメディタッチのドラマの好きな方にも、無用な感情移入をしなければ楽しんでいただける、ハリウッド映画やフランス、イギリスモノとは違ったテイストの作品です。
それにしてもじいちゃんは、なんで怪我したんだろう???
出演:テオ・ゲオルギュー,ブルーノ・ガンツ,ジュリカ・ジェンキンス,ウルス・ユッカー,ファブリツィオ・ボルサニ,エレニ・ハウプト,タマラ・スカルペリーニ
監督:フレディ・M・ムーラー 2006年
BOSS的には・・・★★★☆☆
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