2010.02.02
バッヘルベル 3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグ ニ長調「カノン」(1680年頃)
卒業式とか結婚式とか、そういう晴れやかな場所でよく耳にする曲、バッヘルベルのカノン。この曲はバロックの祖、バッヘルベルが1680年ごろに作曲した「3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグ ニ長調」の第1曲です。かのJ.S.バッハの生まれる5年ほど前の、ポスト・ルネサンスのバロック時代。そう、実は相当古い曲なのです。
カノンとは、そもそも複数の音声部が同じ旋律を違ったタイミングで演奏する音楽様式をさし、ルネサンス期に生まれたとされています。いわゆる「輪唱」というやつです。単純で耳に心地よく響くため、現代に至るまで数多くの楽曲に使用されていて、最近のポピュラー音楽でも耳に残る曲がカノンの様式だったりします。
また、作曲の初心者が作る曲もカノンに近い構成となっていることが多いそうで、作曲の創意工夫のなさの代名詞として使われることもあるそうですが・・・。
バロック音楽の父バッハの曲も、その多くがこのカノンやフーガで作曲されています。
まあ、そんな星の数ほど作られてきた「カノン風」の楽曲の中でも、カノンと言えばこの曲が浮かんでくる。それは、この曲の持つ「癒し」のちからや「柔らかい華やかさ」所以なのでしょうね。
現代人は誰しもが、一日の労働と引き換えに背負いきれないほどのストレスをどっしりと背負ってそれぞれ家路に着きます。
かく言うわたしも、日々内憂外患の吹き荒れる暴風雨に打たれながらとぼとぼと家路をたどります。そんな疲れた心と体から、ストレスと言う名の邪気を抜き去り、魂を浄化してくれるもの。
何がしかの意図のない、純粋に無垢な魂は、こんな音に包まれることをいつも夢見ています。