2010.02.21
The Horse Whisperer 邦題:モンタナの風に抱かれて
雄大なモンタナの大平原を舞台に、馬の心がわかる「The Horse Whisperer」と呼ばれるカウボーイによって、傷ついた少女の心が癒され、またひと時の男女の切ない恋を描いたドラマ。監督・製作・主演は、名優ロバート・レッドフォード。
ニューヨークに住む13歳の少女グレース(スカーレット・ヨハンソン)は、愛馬ピルグリム(巡礼者の意)に乗馬中に事故に巻き込まれ、一緒にいた親友を亡くし自らも右足を切断することになります。愛馬も事故のショックで人間を嫌う暴れ馬となってしまいます。
ファッション雑誌の編集長で多忙な毎日を過ごす母アニー(クリスティン・スコット・トーマス)は、傷つき閉ざされた娘の心を癒すには、彼女がピルグリムと昔のように一体になれることが必要だと考え、弁護士の夫ロバート(サム・ニール)を一人ニューヨークに残し、はるか北西部のモンタナに住む、馬の心がわかると有名なトム(ロバート・レッドフォード)の牧場を娘と愛馬を伴って訪れます。
都会人の強引さに溢れるアニーに呆れたトムでしたが、娘グレースが協力するという条件付でピルグリムの治療を引き受けることにします。馬の心がわかると言うトムの自然な接し方によって、ピルグリムも次第に穏やかになってゆき、グレースも雄大な大自然に抱かれて次第に元気を取り戻してゆきます。
誠実で自然や馬を愛するトムに次第に惹かれて行くアニー。田舎暮らしの出来なかった妻との結婚の失敗からようやく立ち直りつつあるトムもアニーに惹かれてゆき、二人はあるキャンプの夜、キスを交わすことになります。
ほどなく突然ニューヨークからアニーの夫ロバートが牧場を訪れ、すっかり元気になった娘を見てトムに感謝しますが、トムに心惹かれ始めたアニーの心は穏やかではなりませんでした。トムの誠意の甲斐あって、ついにグレースを背に乗せて歩むことが出来たピルグリム。それはトムとアニーの別れをも意味します。
それまでの行き止まりのようなロバートとの結婚生活に迷いを持ったアニーは、ロバートとグレースを先にニューヨークに返し、ピルグリムとともに馬の買い付けで牧場を離れたトムの帰りを待ちます。
この邦題はいいですねぇ~。「モンタナの風」に抱かれのは、都会のあわただしい暮らしと時間を刻むような親子関係を含む人間関係ががあたり前だったアニー。「モンタナの風」とは、見渡す限りの大平原を吹き抜ける風と素朴なトムの生き様でした。
クリスティン・スコット・トーマス、好きなんです、この女優さん。そう、あの「イングリッシュ・ペイシェント」でも、夫がありながらの役でしたが・・・。個人的にこの人の顔、特に目と鼻がすきなんですよねぇ~イギリス人っぽい、上品な顔立ち、劇中でもイギリス生まれと言ってましたが。
スカーレット・ヨハンソン、若いです。当時14歳ですから。あっという間に、いい大人の女性になりました。サム・ニール、「ジュラシック・パーク」以来です。地味な役者さんですが、個人的には好きな男優さんの一人です。
原作としては、モンタナの大自然が主人公であり、馬も人も癒す力を持つこの雄大な自然がテーマなのでしょうが、どうしても人間中心に見てしまうと、主役はアニーでもトムでもグレースでもなく・・・と、なんだかどっちつかずの2時間50分となってしまいます。
レッドフォード監督、もしかしたらあの「イングリッシュ・ペイシェント」で見せた、クリスティン・スコット・トーマスの胸を引きちぎるような道ならぬ恋の苦しさを期待しての起用だったのかもしれませんが、原作がそっちに振ってはいなかったので、致し方ないでしょうねぇ~。
大自然に振ってしまうか、人間サイドの細やかさに振ってしまうか。ちょっとどっちつかずが惜しい、テーマとしてはなかなかの作品なのですが・・・
出演:ロバート・レッドフォード,クリスティン・スコット・トーマス,サム・ニール,ダイアン・ウィースト,スカーレット・ヨハンソン
監督:ロバート・レッドフォード 1998年
原作:ニコラス・エヴァンス
BOSS的には・・・★★★☆☆
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