2010.03.09
East of Eden 邦題:エデンの東
巨匠エリア・カザンがスタインベックの長編小説を映画化、かのジェームス・ディーン初主演にしてその人気を不動のものとしたヒューマンドラマ。
1917年、カリフォルニアの小さな町サリナスで農場を経営するアダム・トラスク(レイモンド・マッシー)には双子の息子がいました。兄のアーロン(リチャード・ダヴァロス)は真面目で優等生、アブラ(ジュリー・ハリス)という美しい娘と恋仲中です。弟のキャル(ジェームズ・ディーン)はひねくれ者で、父からも疎ましく思われていました。
二人の母親は二人が幼い頃に死んだと父から聞かされていましたが、キャルは隣町のモントレーで酒場を経営するケート(ジョー・ヴァン・フリート)こそが自分の母親だと信じていました。そして兄は聖書に忠実に清貧に生きる父に似て、自分は水商売をする母の血を引いているから不良なのだと。
アダムは農園で取れたレタスを氷で冷凍し、はるかニューヨークまで列車で運搬する事業に大金をつぎ込みますが、雪崩により列車は立ち往生。彼のレタスはすべてごみとなってしまいます。父の大きな損失をなんとか取り戻そうと考えたキャルは、資産家のウィル・ハミルトン(アルバート・デッカー)と手を組み、母ケートから借りた金で大豆の先物に投資します。
やがて彼らの狙いどおり、ヨーロッパでは第一次世界大戦が勃発し、大豆の値段はどんどんと値上がりすることになります。
エリア・カザンが「波止場」に続いて取り組んだ社会派ヒューマンドラマ。なんといってもジェームス・ディーンの魅力満載といいますか、あの母性本能をくすぐるような眼差し、男の私でも惚れ惚れします。彼自身は性格俳優的に演じているのでしょうが、まさにはまり役です。
物語は旧約聖書の「カインとアベル」がベースになっていますから、その物語、あるいは旧約聖書自体を理解しているとより奥行きのある作品となりますが、さすがはスタインベックの作品、予備知識無しでもどんどんと引き込まれること間違いなし。
ただし彼の社会派作家としての訴求はこの物語ではかなり薄められ、神や誠実や愛や家族というものが見事に綴れ折られています。感動のエンディングは、その鋭い視線の中に垣間見える優しさゆえでしょう。
彼のファンでなくても、やはり映画ファンとしては見ておくべき1本でしょうねぇ~。映画史上に残るあのメロディは、レナード・ローゼンマン作曲です。
出演:ジェームズ・ディーン,ジュリー・ハリス,レイモンド・マッセイ,ジョー・ヴァン・フリート,リチャード・ダヴァロス,アルバート・デッカー
監督:エリア・カザン 1955年
原作:ジョン・スタインベック
BOSS的には・・・★★★☆☆
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