2010.03.29

Movies

Indigenes 邦題:デイズ・オブ・グローリー

またまたお得意の戦争モノです。第二次世界大戦末期のフランス軍に参加したアルジェリアのアラブ傭兵たちの戦いを描いた戦争映画。カンヌ男優賞受賞、セザール賞脚本賞受賞作品。

1943年、北アフリカ戦線終結の頃。連合国フランスはドイツに占領されたヨーロッパへの侵攻のため、アルジェリアやアフリカの原住民を雇い入れます。フランス軍の指揮下に置かれたアルジェリア人部隊も、戦線の経過とともにその戦場がアフリカ大陸からイタリア、そしてフランス内陸部へと移動してゆきます。

彼らの中には、ドゴールの「祖国フランスの開放を!」という呼びかけに賛同し兵役に志願したものもいましたが、その多くは貧しい暮らしをなんとかしようとの思いからでした。

しかし彼らはもちろん、フランス正規軍ではない。ほとんど訓練も何もない彼らには、前線では危険な作戦行動の指令が発せられ、功章もほとんどありません。

休暇もなく食事も差別される。それでもフランスの為に戦い、功績を挙げることで名誉を得られるのではないかと信じ、軍人としての職務に邁進します。

dog.jpg軍曹以下10名ほどの分隊が、フランス奥地のさびれた村の橋頭堡を確保する指令を受けます。

ハリウッド映画にはない映像と展開が新鮮です。対戦中はどの国も自国民の軍隊だけでは足りず、現地などからの傭兵によるにわか部隊を構成しました。本作は、フランス軍に雇われたアルジェリアのアラブ人たちの戦いを描いたものです。

フランス語を話し、フランスを開放するために命を賭ける彼ら。しかし彼らを守るのはアッラーの神です。現在のフランスに何故アフリカ移民の人たちが多いのか、もしかしたらこういう理由なのでしょうか?フランスが正義と博愛の国であると言う以前に?

かつてアメリカに移住した日本人たちも、徴兵されて日本人部隊が組まれました。さすがに太平洋戦に投入されることはありませんでしたが、ヨーロッパのかの地で命を落とした日本人も数多くいたと聞きます。

国家同士の戦い、いや喧嘩に巻き込まれた国民には国籍も宗教も関係ない。しかしまず彼らは戦場における消耗品でしかありませんでした。

大戦末期の分隊でありながら、アラブ人である軍曹も伍長もMAS36という単発式の歩兵銃、部隊にはトンプソン・サブマシンガンらしい連発銃が1丁。「コンバット」みたいにブローニングの自動小銃の援護はありません。

それでもそれがあたり前の戦いであるがごとく、ドイツ軍のMG42にさらされる彼らを見ていると、砂漠の民の部族同士の争いの延長線上でしかないように思えてきます。

戦争物としてははでな戦闘シーンは少なく、アクションを期待するとはずされます。しかしヨーロッパにおける日常の白兵戦というのは本来こういうものなんだろうなというのは説得力があり、数mの距離で自動小銃を打ち合うシーンなどは、リアリティに溢れています。

戦争物というのは、記録モノとヒューマンドラマと反戦モノに別れるのでしょうが、本作はどれにも属さない、いわば第三世界の歴史戦争物作品です。アルジェリア、フランス、モロッコ、ベルギー合作。

出演:ジャメル・ドゥブーズ,サミー・ナセリ

監督ラシッド・ブシャール 2006年

BOSS的には・・・★★★☆☆

デイズ・オブ・グローリー [DVD]

おすすめ平均:4
4自由のために戦うイスラム教徒
3どうしても比べてしまう・・・
5考えさせられる映画
5自由と平等を求めて!

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