2010.03.21
セルゲイ・ラフマニノフ パガニーニの主題による狂詩曲 op.43(1934年)
ラフマニノフと言えば、ピアコンの2番、3番が有名です。ほかにも彼の作品では交響曲第2番も大好きなのですが、自らもピアニストだった彼の真骨頂は、やはりピアノの調べと叙情性溢れるメロディでしょう。
今日ご紹介するのは純粋なピアノ協奏曲ではありませんが、ピアノとオーケストラのための変奏曲の形態をとった「パガニーニの主題による狂詩曲作品43」です。
1917年、ロシア革命の最中に演奏旅行のため祖国を離れ、家族とともにそのままアメリカにわたったラフマニノフ。ピアニストとして比類なき名声を得た彼でしたが、混乱の最中の亡命とはいえ、彼の心の中には祖国を捨てた自責の念が消え去ることはありませんでした。
1931年、スイスの有名なルツェルン湖畔に別荘を建て、ヨーロッパでの生活の拠点とした彼が、その地で1934年に作曲したのが、この「パガニーニの主題による狂詩曲」でした。
この曲は主題と24の変奏からなっており、主題はパガニーニのヴァイオリン曲「24の奇想曲」の第24番「主題と変奏」の「主題」を用いています。
そしてこの曲で最も有名なのが変ニ長調の第18変奏です。
美しい調べ、ピアノとオーケストラの月下の逢瀬。あるいは叶わぬ恋、道ならぬ恋に身をやつす魂の呻き。狂おしい望郷、なくしたものの大きさに押しつぶされそうな心。
嬉しいときも、悲しいときも、辛いときも、苦しい時も、あなたを見ている人がいる。あなたを心配している人がいる。あなたを頼りにしている人がいる。あなたを愛している人がいる。
きっと、どこかに・・・。