2010.03.13
スローなブギにしてくれ
ふとしたことで出会った二人の男と一人の女の奇妙な生活を描いた、片岡義男の同名の小説を映画化した青春ドラマ。
神奈川県の郊外、夕暮れの第3京浜。急停車した白いムスタングから若い女が放り出され、後からやってきたオートバイの若者に拾われます。彼女の名はさち乃(浅野温子)、そして青年はゴロー(古尾谷雅人)。さち乃はゴローに家に転がり込み、拾ってきた猫とともに暮らし始めます。
一方、さち乃を車から放り出した男(山崎努)は、横須賀の旧米軍住宅に住み、仕事仲間の輝男(原田芳雄)と敬子(浅野裕子)との奇妙な同居生活。敬子には二人のどちらが父親か分からない子供がいて、彼女の妹由紀江(竹田かほり)が面倒を見ています。
ある夜、ジョギングに出かけた輝男は心臓発作で死んでしまい、ゴローの方はアルバイト先の店長とけんかをして仕事をやめてしまいます。
「野獣死すべし」に続く、角川映画80年代の幕開け作品。就職したばかりのあの頃の、青臭くむしむしした空気がむわーっと蘇えってきます。かつて若かりし頃に、原作も読みました。
自分が生きていた時代を客観的に振り返ることはなかなか難しいのですが、80年代初頭と言えば高度成長が一息ついた、ある意味芳醇な時代。そして人が目的を見失い、彷徨い始める時代。そんな時代を切り取ったのが本作です。
ありそでなさそな、でも似たようなことはよくあって、もしかすると自分も同じような生き方をしてきたかも知れない。この映画のような生き方で終わることなく、その混迷や迷いを乗り越えて、確かな足取りで歩むことの大切さを、危うい青春のあるカットを見て感じていただければ・・・。
出演:浅野温子,古尾谷雅人,山崎努,伊丹十三,室田日出男,岸部一徳,浅野裕子,竹田かほり
監督:藤田敏八 1981年
原作:片岡義男
BOSS的には・・・★★★☆☆
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