2010.04.14
ライ麦畑でつかまえて J・D・サリンジャー著
今更ながらの「ライ麦畑でつかまえて」です。この本に触れたのは随分昔の若かりし頃、この歳になってあらためて読んでみました。
物語は心の病を持ってしまった17歳の主人公ホールデンが、1年前のクリスマス休暇前に通っていた学校を退校処分になり、ニューヨークにある自宅に戻るまでの3日間の出来事を一人称で語った私小説です。
出版された50年代、「反体制的」あるいは「既成に対するアンチテーゼ」のメッセージとして、アメリカの若者の間で根狂的な支持を受けます。
この流れは60年代の(稚拙な)「若者の目覚め」としてのヒッピームーブメントや、ロックンロールなどの反体制的若者文化の台頭という時代の流れに重なってゆきます。
そして反体制の象徴として扱われることも多く、ジョン・レノンを暗殺したマーク・チャップマンやレーガン元大統領の暗殺を狙ったジョン・ヒンクリーが愛読していたことでも有名です。
かつてホールデンはただ生意気な少年であり、彼の独白は強がりにしか聞こえなかったのですが、今読み返してみると彼の中に潜んでいる傷つきやすく繊細で、しかも臆病な「若者」の本質が鮮明に見えてきます。
「大人はすべてインチキ」だと断言する彼。しかしその生き方が、どれだけ「リアル」で真実なのか?はたして人は「社会」という檻の中で、「真実に生きる」ことができるのか?それは60年経った今も、何も変わらない「現実」なのかもしれません。
あれから、幾時代の若者たちが、その檻を壊そうと試みたことか・・・。しかし、壊すことが目的ではなく、壊そうともがき苦しむことこそが「若者を生きる意味」であり「若者の特権」だとも思います。
そして現代の若者に、そういう「志」あるいは「はじける魂」があるのか?責めるべきは彼らではなく、今の時代を動かしている私たち「大人」なのでしょう。
この本は、数々の映画作品にも登場します。ウディ・アレン監督によるロマンスコメディ「アニー・ホール」では主人公の愛読書でしたし、メル・ギブソン主演の「陰謀のセオリー」では主人公が大量に所蔵していました。
ジャック・ニコルソン主演、スタンリー・キューブリック監督のホラー映画「シャイニング」では主人公の妻が食事をしながら読んでいたり、「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」に登場する笑い男たる少年が愛読していました。
サリンジャーのメッセージ、
「いつの時代も大人たちは、決して "ライ麦畑のキャッチャー" にはなれない。」
おすすめ平均:
大人に見えなくなった世界。
サリンジャー自身
なぜか新書版のベストに。かなり古い作品なのに
今だからこそ
16歳の少年が、大人世界の偽善を直感で見抜く
Amazon.co.jpで見る by Azmix
おすすめ平均:
誰か・・・・;
何べんも見直したい作品
いついかなる時でも信じて疑わない部下への信頼。
まさにジャパニメーションの最高境地!
本当に素晴らしい全13時間。
Amazon.co.jpで見る by Azmix