2010.05.16

Movies

All the President's Men 邦題:大統領の陰謀

アメリカの歴史上初めて現役大統領が任期中に辞任に追い込まれた「ウォーターゲート事件」を暴いたワシントン・ポスト紙の二人の記者、カール・バーンスタインとボブ・ウッドワードの手記を元に描かれた作品。主演はダスティン・ホフマンにロバート・レッドフォード。アカデミー賞助演男優賞・脚色賞・美術賞・録音賞受賞作品。

1972年6月17日の深夜。5人の男たちがワシントンにあるウォーターゲート・ビルにある民主党本部に侵入します。68年に大統領となった共和党のニクソンがその任期を終え、秋には再選に向けた大統領選挙が行われることになっていました。

5人組は野党である民主党の選挙キャンペーンを妨害するため、何者かに雇われて盗聴器を仕掛けようとしていましたが、ビルの警備員からの通報で捕まります。彼らの身元はすぐに元CIAの諜報部員やニクソン大統領の選挙本部の現役対策員たちとわかりますが、ホワイトハウスは事件への関与を否定します。

inbou.jpgワシントン・ポストに入社してまだ9ヶ月の新米記者ボブ・ウッドワード(ロバート・レッドフォード)と記者16年のベテラン、カール・バーンスタイン(ダスティン・ホフマン)の二人は上司のハワード・ローゼンフェルド(ジャック・ウォーデン)に呼ばれ、事件を担当することになります。

ただの不法侵入かと思われたこの事件、しかし保釈を問う予審の場に政府筋の弁護士がきていることを知ったボブたちは、事件がまだまだ奥深いことを理解します。

エンディングの知れた物語ですので、そのプロセスといいますか、どうやって真実にたどりつくのか、刑事コロンボ的な見方をするわけですが、事実に基づいた新聞記者たちの活躍ですから、派手なドンパチもカーチェイスもありません。ひたすら聞き込み取材を続ける日々。

ボスのハワードの描写も、フィクションですと圧力に屈することなく部下を信頼して責任は取るといった姿がよく出てきますが、ここではあくまでも現実的。ただし、報道のなんたるかをしっかりと部下に教え伝えます。

この事件で失職したニクソンは、最後まで悪名名高い大統領として記憶に刻まれましたが、泥沼化したベトナム戦争の終結や中国との国交回復、デタントの推進や冷戦崩壊への貢献など、一部の有識者の間では「偉大な功績を残した歴代大統領の1人」との評価を受けています。

この作品は、平の記者が真実を追い求めることにより、一国の大統領をも弾劾できるという「アメリカの正義」と、報道にとって裏づけがなによりとにかく大事であることを私たちに伝えます。いまでも、十分な裏づけなしに時間切れでバンバン報道する問題がそこここにありますが、マスメディアの方々には、この立ち位置をしっかりと再認識していただきたいものです。

アカデミー作品ではありますが、作品賞でも主演男優賞でもありませんので、作品としてはそれなりですし、先にもお話したとおり事実に基づくゆえの地味な作品です。

ですから逆にしっかりとじっくりと観ることができます。もちろん、ダスティン・ホフマンやロバート・レッドフォードのファンの方に!

出演:ダスティン・ホフマン,ロバート・レッドフォード,ジャック・ウォーデン,マーティン・バルサム,ハル・ホルブルック,ジェイソン・ロバーズ,ジェーン・アレキサンダー,メレディス・バクスター,ネッド・ビーティ

監督:アラン・J・パクラ 1976年

BOSS的には・・・★★★☆☆

大統領の陰謀 スペシャル・エディション [DVD]

おすすめ平均:4.5
4アナログの手段しかなかった時代の記者達の執念に敬意
42大俳優の存在感。作品のよさを味さうには、予習が必要かも。
5強烈なメッセージ
5大満足
5地道に、黙々とタイプライターを打ち続ける姿が極めて印象的。

Amazon.co.jpで見る by Azmix

もっとムービー・アーカイブスはこちら >>> 「ムービー・インデックス」

INDEX

CATEGORY

ARCHIVE