2010.05.09
DEEP BLUE 邦題:ディープ・ブルー
自然ドキュメンタリー番組を得意とするディスカバリーチャンネルとイギリスBBCが1995年にはじめた海洋映像プロジェクト「ブルー・プラネット」。撮影された膨大なフィルムを91分間にまとめて公開された海洋ドキュメンタリー作品。
ということで、筋書きのない作品ですのであらすじはありません。大海原を泳ぎ回るいるかの群れに始まって、海洋を住処とする沢山の動物や魚たちが次から次へと現れます。ある時は食物連鎖にしたがって。ある時は自然の驚異の前に行き場をなくす生き物たちを描きながら。
まさに「脅威の映像」の連続なのですが、最近の特にBSで放送されるこの手の自然ドキュメント映像を見慣れた方には、新鮮さは薄いかもしれません。
また食物連鎖の頂点に君臨する「シャチ」が悪役のまま終わってしまうのは、「自然」というものを正しく伝えるという脚色が抜け落ちてしまっています。
そして、特にメッセージ性を持たないまま物語(?)は進みますが、最後に唐突にシロナガスクジラがかつての5%に乱獲されているというナレーションが入ります。
それまで、プレーンに大自然のありよう、陸ではなく生命が生まれ育まれた海という「母なる海」を驚愕とともに受け入れていた観衆を、一瞬にしてきな臭い「人の意図」に引きずり戻されます。
「我々はどこから来て、どこに向かっているのか」「我々には何が出来て、何をしてはいけないのか」観衆にそういうことを考えさせる仕掛けができてこそ、「映画」あるいは「映像作品」と呼べるのであって、結局この短いナレーションが本作をただの「莫大な費用をかけたプレゼンテーション」にしてしまっている。
私的には、「ルグラン・ブルー」のほうがずっとメッセージ性のある素晴らしい映画だと思うのですが・・・。
ちなみに、1993年公開の同名のパニック・アクションとは、何の関係もありません。
出演:イルカ,アホウドリ,シャチ,その他大勢
監督:アラステア・フォザーギル,アンディ・バイヤット 2003年
BOSS的には・・・★★☆☆☆
もっとムービー・アーカイブスはこちら >>> 「ムービー・インデックス」