2010.05.08
The Getaway 邦題:ゲッタウェイ
「ワイルドバンチ」「わらの犬」などのバイオレンス作品で名を馳せた監督サム・ペキンパーが、マックィーンと組んだ銀行強盗の逃亡劇を描いたアクション作品。
アメリカ南部、テキサス州のサンダースン刑務所。銀行強盗で10年の刑を受けたドク・マッコイ(スティーヴ・マックィーン)が、4年間の刑期を終えて突然出所となります。実は地元政界の実力者ベニヨン(ベン・ジョンソン)の筋書きで、出所と引き換えにとある田舎町の銀行を襲撃し、強奪したカネを保釈金とする取引だったのです。
ドクを愛するキャロル(アリ・マックグロー)は、身を呈してドクの出所を待っていました。早速ベニヨンが送り込んできた二人、ルディ(アル・レッティエリ)とジャクソン(ボー・ホプキンズ)とともに銀行襲撃計画を立てるドクとキャロル。しかし計画をなめた様な二人の態度に、ドクは不信感をいだきます。
そしていよいよ襲撃の朝。予定通り銀行の金庫から70万ドルを奪うことに成功したドク。しかしあわてたジャクソンが警備員を射殺、本人もルディによって射殺され、その死体は逃亡用の車から投げ出されます。
ルディが奪ったカネを独り占めしようとしていることを知ったドクは、落ち合う約束の農場で撃ちあいになりますが、ドクのガバメントがルディの胸を打ち抜きます。約束どおりベニヨンの待つ農場に向かったドクは、出所と引き換えにキャロルが彼に抱かれたことを知り、そして車で待っていたはずのキャロルによって、ベニヨンは射殺されます。
ベニヨンの言葉にショックを受けたドク。疑心暗鬼のまま二人は、メキシコ行きの列車に乗る為に駅へと向かいます。
マックィーン、42歳。ええ男です。そんなに激しいアクションではないのですが、スリルと汗、冷や汗もかきます。さすがはサム・ペキンパー。「わらの犬」の悲壮感さえただようストイックな暴力も、本作ではマックィーンとマッグローのリアリティ溢れる演技でうまく昇華されています。
「ある愛の詩」で私たちを涙の渦に巻き込んだ34歳のアリ・マッグロー、本作ではうって変わって銀行強盗の愛人という難しい役柄。犯罪者の愛人という悲しいサガを乗り越える愛とその危うさを、うまく演じております。この二人、本作共演の後めでたくゴールインしたんですよね。(のちに離婚)
音楽は、マックィーンの推薦でクインシー・ジョーンズが担当。誇りっぽいメキシコ国境付近のシーンに、ほのかな潤いを、決死に逃げ回る二人の奥のほうに流れる愛のような人の心のような演出となっています。
マックィーン屈指の作品のひとつ。銀行強盗は割に合わない職業(?)というのが世の通説。はてさて、この二人の運命やいかに・・・。
出演:スティーヴ・マックイーン,アリ・マッグロー,ベン・ジョンソン,サリー・ストラザーズ,アル・レッティエリ,スリム・ピケンズ,ボー・ホプキンス,ロイ・ジェンソン,ジョン・ブライソン
監督:サム・ペキンパー 1972年
音楽:クインシー・ジョーンズ
BOSS的には・・・★★★☆☆
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