2010.06.23
ベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番 ト長調 作品58(1807年)
今日は「すいすい帰ろう!水曜日」のノー・残業デー。早めに帰宅して久しぶりにクラシックに針を落とす、いやCDをかけたりなんかしてみました。何となくのベートーヴェン、たまたまの協奏曲第4番です。
交響曲の父、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが世にその名を知らしめた「交響曲第3番作品55」を作曲したのが1804年。その完成直後にスケッチを開始したこの曲は、歌劇「フィデリオ」、ピアノソナタ第23番「熱情」、ラズモフスキー弦楽四重奏曲、ヴァイオリン協奏曲などとともに作曲が進められ、 2年後の1807年に交響曲第4番と前後して完成します。
前回、彼の「ピアノ協奏曲では5番」のお話をしましたが、3番から5番への橋渡しとして、またかの運命交響曲に向かう彼のオリジナリティと作曲に対する情念が埋め込まれた、なかなかどうして素晴らしい楽曲なのです。
全体的にはモーツァルトの呪縛から解放され、しかし運命交響曲のあの絶対音楽とは異なる、同時期のソナタ「情熱」に似たロマン派のはしりの美しい旋律に溢れています。
当時としては珍しい、独奏楽器のみで始まる第一楽章の主題は、運命交響曲と同様の同音連打のメロディがとても優雅です。
ベートーヴェン自身の筆によるカデンツァは長短2種類ありますが、私の所蔵のグルダ版は100小節の長編版です。
切れ目無く続く第二楽章は、ピアノと弦楽器の瞑想的な6分弱の小品。ピアニッシモがフェルマータを迎えると第3楽章、終章を迎えます。
弦楽器による第一楽章冒頭の主題を提示した後、ピアノと弦楽器が寄り添うような華麗なロンドとなり、初めてここでトランペットと打楽器も加わって、ブレストのコーダでしめくくられます。
モーツァルト同様、自ら演奏するためのピアノ曲から、作品としての楽曲へと変化する過程で産み落とされた、地味ながらも美しくまた厳しく、そして何よりもベートーヴェンらしい曲のひとつです。
これまで聴いたことのない方は、是非一度お聴きになってみてください。グルダのピアノ、ホルスト・シュタイン指揮ウィーン・フィル。名演なのに超お買い得です!