2010.06.18

Movies

CAPOTE 邦題:カポーティ

ヘプバーンの名演で有名な「ティファニーで朝食を」の原作者トルーマン・カポーティが、ノンフィクション小説というジャンルを切り開くことになった、彼と取材対象となった殺人犯とのやりとりを描いたドラマ。アカデミー賞主演男優賞受賞。

1959年11月。カンザス州の田舎町で、農家の一家四人が惨殺される事件が発生します。小説「ティファニーで朝食を」で名声を得ていた作家のトルーマン・カポーティ(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、その事件の新聞記事に目を留め、実際に起こった事件を題材にした新しいジャンルの小説を書くことを思いつきます。

capote.jpgザ・ニューヨーカー誌の編集者ウィリアム・ショーン(ボブ・バラバン)に執筆の許可を取りつけ、ちょっと変わり者の彼のよき理解者である幼なじみのネル・ハーパー・リー(キャサリン・キーナー)を伴い、カンザスの田舎町を訪れます。

地元警察の担当刑事アルヴィン・デューイ (クリス・クーパー)の妻がカポーティの小説のファンであったことから取材の道がひらけます。夫妻の自宅に呼ばれ食卓を囲む彼らの元に、2人組の犯人逮捕の一報が入ってきます。

ラスベガスで確保された犯人たちの身柄がカンザスに移送され、カポーティはそのうちの一人、ペリー・スミス(クリフトン・コリンズJr.)に接触することに成功します。そして彼との会話の中で、自らの生い立ちと共通するものを彼の中に見出してゆきます。まるで、もう一人の自分であるかのように・・・。

凶悪な犯罪に至った殺人犯を取材してそれをもとに小説を書き、さらなる名声を得ようとするカポーティに対して、最初は軽蔑といいますか嫌悪感を抱いて見ていました。ちょっと変わった言動や男色らしき模様は、さらに見ている私たちを傍観者的立場に押しやります。

しかし自らの意図的な行動とは別に、次第に感情移入し、極刑を前に受刑者以上に身動きの取れない精神状態となってゆく主人公。一度は芽生えかけた二人の友情と、意図的なカポーティの行動による亀裂。しかし犯人には、もう時間もなく、また自らの最後をまっすぐに看取ってくれる相手は彼しかいない。

というような、非常に複雑で難しい役を見事にこなしたフィリップ・シーモア・ホフマンが主演男優賞を受賞したのはまあ当然かもしれません。確かに自然であり、見事です。

ただ、ドキュメントを扱った特殊な作家のまあいわば悲劇を扱ったドラマですので、それだけといえばそれだけなのですが、時々出てくるカンザスの風景が、ドロドロとした人間の悪意を浄化するかのようです。お子様にはお勧めいたしません。

出演:フィリップ・シーモア・ホフマン,キャサリン・キーナー,クリフトン・コリンズ・ジュニア,クリス・クーパー,ブルース・グリーンウッド

監督:ベネット・ミラー 2005年

BOSS的には・・・★★★☆☆

カポーティ コレクターズ・エディション [DVD]

おすすめ平均:4
4「冷血」を読みたくなる!
3コピーと中身の乖離。
5退廃した上流階級の欺瞞vs殺人犯の悔恨
5罪を描くということ
5少年の感性をもつカポーティ

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