2010.06.19
Vertigo 邦題:めまい
「間違えられた男」に続く、監督ヒッチコックのスリラー。主演は「アメリカの良心」ジェームズ・スチュアートにキム・ノヴァク。
サンフランシスコ市警の元刑事ジョン・ファーガスン(ジェームス・スチュアート)は、屋上で犯人を追跡中に部下を墜落死させてしまい、それがもとで仕事を辞していました。
実は彼は高所恐怖症だったのです。商業画家のミッジ(バーバラ・ベル・ゲデス)の部屋は、そんな彼にとって唯一気の休まる場所でした。
ある日、学生時代の友人ゲビン・エルスター(トム・ヘルモア)から連絡があり、ゲビンの妻の尾行を依頼されます。若く美しい妻マドレイヌ(キム・ノヴァク)は、気が狂い自殺した曾祖母が乗り移ったかのような不可解な言動をしていました。
翌日からジョンは彼女の尾行を始めます。彼女は、曾祖母の墓を訪れたかと思えば、その昔曾祖母が住んでいたという今はホテルになっている屋敷を訪れたり、ギャラリーを訪れ肖像画に見入ったり。
そしてある日、彼女はサンフランシスコ湾に身を投げます。それを見ていたジョンは、すぐさま彼女を救い、自宅に連れ帰って介抱します。彼女を見守っているうちにジョンは、彼女に恋心を抱くようになります。そしてマドレイヌも・・・。
現代の特撮技術を見慣れている私たちには、あまりに幼稚な映像ですが、この作品が作られたのは1950年代。その基準で見れば、当時としては画期的なカメラワークなどを試みていることがよくわかります。
一般的にはヒッチコックの代表作のひとつとして数えられる本作ですが、彼自身は「失敗作」の烙印を押していたそうです。それは、主演女優にと考えていたヴェラ・マイルズの出演がかなわず、急遽キム・ノヴァクを起用したのですが、彼はマドレイヌの役柄をキムのような魅惑的な女性ではなく、もっと清楚なイメージを持っていたようです。
個人的には「ピクニック」でも触れましたが、キム・ノヴァクのあの魔女的な魅力顔がどうも苦手で、イマイチ物語にのめり込めない。なんだか「好きにして!」という感じ。
キム・ノヴァク
ヴェラ・マイルズ
しかし、客観的には「演じる役目」だった彼女の演技は、大根ではないと信じればなかなかのもの。それは評価の高い本作のカメラワークによるところも大きいでしょう。
「アメリカの良心」ジェームズ・スチュアートは当時50歳。一方のキム・ノヴァクは25歳。この歳の差って、恋に落ちやすいとか、理想的な歳の差?なわけはないか・・・。
音楽は、鳴く児も黙るバーナード・ハーマンです。
本作から60年が過ぎました。もう一度、この時代の名作と呼ばれるものを見ることで、「映画」、あるいは「映像作品」のなんたるかを、あらためて考え直すことのできる、そういうある種のスタンダードな作品のうちの1作です。
ヴェラ・マイルズだったら、★4つ・・・。
出演:ジェームズ・スチュアート,キム・ノヴァク,バーバラ・ベル・ゲデス,トム・ヘルモア,ヘンリー・ジョーンズ
監督:アルフレッド・ヒッチコック 1958年
BOSS的には・・・★★★☆☆
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