2010.07.27
Le Grand Bleu 邦題:グラン・ブルー
フリーダイビング(素潜り)の世界記録に挑む2人の男の友情と、海に生きる男を愛してしまった女性の心の葛藤を描いたドラマ。実在の天才ダイバー、ジャック・マイヨールの協力を得て鬼才リュック・ベッソンが映画化したフランス・イタリア合作映画。
ギリシャの海辺の町で育ったイタリア人のガキ大将のエンゾは、素潜りが何よりも得意。そんな彼が唯一認めていたのが、年下のフランス人少年ジャック。母はアメリカに帰ってしまい、潜水夫の父と叔父の3人暮らしの少し気弱なジャックもエンゾに負けず劣らず、素潜りが得意でした。
12年後、ニューヨークで働く保険調査員のジョアンナ(ロザンナ・アークエット)は、トラック事故の調査のためペルーのアンデス山脈にある高地を訪れます。そこで彼女は、凍てつく氷の下の湖に酸素ボンベなしに潜ってゆく、美しい目をした青年(ジャン=マルク・バール)に出会います。
数ヵ月後、シチリア島タオルミナで行われるフリーダイビングの世界選手権に集まったのは、エンゾ(ジャン・レノ)、エンゾに誘われたジャック、そしてジャックを追ってニューヨークから駆けつけたジョアンナでした。美しい真っ青な海を舞台に、命を懸けた男たちの戦いが始まります。
よく似たタイトルの同じように海がテーマとなった「ディープ・ブルー」なる映画がありますがまったくの別物。同じように、水中撮影をふんだんに織り込みながらも、こちらは人間という生き物が、海とどう命のかかわりを持つかということがテーマとなったフランス映画らしいフランス映画。
レストランで3人で食べる「海の幸スパゲティ」がとっても美味しそう。日本人みたいに、スプーン使ってくるくる・・・なんて食し方はいたしません。
公開後、若者の間で絶大な支持を集め、「Grand Bleu Generation」なる社会現象まで巻き起こしました。3人の登場人物のそれぞれの素に近い生き様と、その背景でろうろうとすべてのものを包み込む「母なる蒼」。そして、印象的なエリック・セラの音楽。
なお本作にはフランス公開版の「Le Grand Bleu」、日本公開版の「THE BIG BLUE」、音楽がエリック・セラではないアメリカ公開版の「THE BIG BLUE」、無編集版で168分ある「Le Grand Bleu/VERSION LONGUE」(日本公開は「グラン・ブルー/グレート・ブルー完全版」)、そして10周年を記念しベッソン自身が「これこそが磨きに磨きぬいた、一生大事にしていきたい、心の一本」と語った「10ans Le Grand Bleu/VERSION ORIGINALE」(日本公開は「グラン・ブルー/オリジナル・バージョン」)がありますが、もちろん最後の版がお勧め。
本作公開後メジャーになったジャック・マイヨール。この後、オメガのシーマスターに「ジャック・マイヨール」バージョンが登場したのは、時計好きの方には有名なお話。
この作品を見終わった後、大好きだったイルカが大嫌いになった女性の方も多いはず。どうかそういう身近な視点を離れ、地表の7割以上を占める「蒼い海」と人とのかかわり、人の命と生きる意思とのかかわりなどを、外の猛暑から離れて肌で感じてみてください。
ベッソン作品では個人的に最も好きな作品。
出演:ロザンナ・アークエット,ジャン=マルク・バール,ジャン・レノ
監督:リュック・ベッソン 1988年
音楽:エリック・セラ
BOSS的には・・・
★★★★☆
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