2010.07.19
The Spirit of St. Louis 邦題:翼よ!あれが巴里の灯だ
世界初の大西洋無着陸横断飛行を行ったリンドバーグの自伝を、「アメリカの良心」ジェームズ・スチュワート主演で映画化した作品。監督は「アパートの鍵貸します」「麗しのサブリナ」などで有名なアカデミー監督ビリー・ワイルダー。
1926年、ニューヨークとパリの間を無着陸飛行した者に、2万5千ドルの賞金が与えられるオーテエイグ賞が発表されます。セントルイスに住む航空郵便のパイロット、リンドバーグ(ジェームス・スチュワート)は、町の有志に資金援助を申し入れ、飛行機の段取りに入ります。
かねてから目をつけていた飛行機を購入しようと、ニューヨークにあるコロンビア航空の本社を訪ねますが、パイロットを自社から派遣しない場合は売らないとのこと。自ら操縦するつもりだった彼は、失意のままセントルイスに戻りますが、出迎えたスポンサーたちは今度は西海岸のカリフォルニア州、サン・ディエゴにあるライアン航空を訪問するよう進めます。
訪れてみれば、小さな町工場のような会社。しかし工場長や設計主任の姿勢、しっかりした知識と技術に確信を持ったリンドバーグは、そこに飛行機の設計・製作を依頼します。すでに、アメリカ側とフランス側からこの冒険に挑戦するものたちが準備中というニュースが入り、彼らは急ピッチで作業を進めます。
そしていよいよ歴史に残る5月20日。前日から一睡もできなかったリンドバーグは、雨が上がった早朝の7時52分、「The Spirit of St. Louis」と名づけられた愛機に乗り込み、3600万マイル離れたパリを目指して飛び立ってゆきます。
映画は、歴史的な飛行の前夜から始まり、眠れない彼の脳裏にフラッシュバックのように現れる彼の空とのかかわりの歴史、そして資金集めから飛行機の完成までが描かれます。
ニューヨーク、ルーズベルト空港離陸後の後半は、激しい睡魔と戦いながら、またそれまでの彼の歴史が語られます。
忠実に再現された「セントルイスの魂」号による映像は、実機撮影が織り込まれてこの時代の作品としてはリアリティ抜群。
果てしない夢を描き、その実現のために奔走し、そして時速150キロという高速道路並みの速度で大西洋を一人渡ったリンドバーグの数ヶ月と33時間半を、ジェームズ・スチュワートの名演で堪能できます。
有名なお話で基本的には史実ですから、まさかの展開などはありませんが、夢にかける男の生き様は、激しかろうと静かだろうと、やはり心を打ちます。
史実に基づき、「翼よ!あれが巴里の灯だ」とは言いません。あしからず。
出演:ジェームズ・スチュアート,マーレイ・ハミルトン,パトリシア・スミス,バートレット・ロビンソン,マーク・コネリー
監督:ビリー・ワイルダー 1956年
原作:チャールズ・A・リンドバーグ
BOSS的には・・・★★★☆☆
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