2010.08.16
ショパン 幻想曲 ヘ短調 作品49
数多いピアノ独奏曲を世に残したショパンですが、幻想曲はこの1曲だけです。そしてこれもまた、彼の傑作として世に認められています。
1941年、ショパン31歳。ジョルジュ・サンドとの幸せに満ちた日々の狭間に産み落とされたこの珠玉の一曲。
12分弱のこの曲は、内村直也作詞、中田喜直作曲の「雪の降るまちを」にそっくりなメロディで始まります。もちろんショパンのほうが古いわけですが、作曲者本人は引用してはいないとおっしゃったそうです。(^_^;)
幻想曲というのは、そもそもソナタやコンチェルトのように、決まった形式構想に縛られることなく、自由に曲を展開することが出来ます。
この曲も4分の4で始まり、4分の3拍子、2分の2拍子と拍子を変えながら、ショパンの心に、いやピアノと指でつながった彼の魂に浮かぶ情景が、幻想的に描かれています。
こういう曲は、展開がどうの再現がどうのとこ難しく文字で語るのではなく、12分間、心や魂を奏でられる霧に包まれて、私たち自身が何を感じ、どう思ったかでよいのでしょう。
はかりしれぬ深き愛情と遥かなる憧憬。そして魂の逢瀬。