2010.08.09
ショパン ピアノソナタ第3番 ロ短調 作品58
「今年はショパンを聴き倒すぞ!」イヤーで休日の朝や寝る前のひと時にはショパンを流すのですが、なかなか投稿までには至らず・・・。ようやく前回に引き続きソナタ第3番です。
前作は彼が29歳の夏、ジョルジュ・サンドとの至福のときに書かれなました。なのにしかし第3楽章の「葬送」とは?という疑問をもたれた方は、是非前回の投稿をご覧ください。
その5年後、まだ34歳ですが作品としては晩年に差し掛かった1844年。1年ほど前から体調が悪化し、同年には父をも亡くします。しかしサンドから注がれる献身的な愛情のもと、彼は円熟期の傑作を次々と生み出していました。
シューマンの評価、「冗談ではないにしろ気まぐれだ」と評された前作と比べると、はるかに有機的な統一感を感じ、小品が多い彼の作品の中で、彼の持ち味の美しい輝きを持ったまま、壮大な印象を残す作品となります。
ショパンらしい独特の旋律から始まる第一楽章。はっきりとした行進曲風の和音は、やがてしずかに霧に包まれてゆきます。
言葉にならない美しさ、センチメンタルでかつ回想を伴ううしろめたさ・・・。
一体誰がどうやって弾くのかと思うような8分音符がどこまでの続く第2楽章。対照的に甘美なラルゴの第3楽章。そして華麗で、かつ情熱的な終楽章を迎えます。
どちらかといえば技巧や試みに走った感の否めない2番と比べると、この3番はピアノの詩人ショパンの、ポーランド人としてのアイデンティティを確立した最も雄大で、逆に最も個人的な作品なのかもしれません。
敬愛する父の死や、自らに迫る死の影を振り払い、人の命など霧のようなもの、とうそぶきながら、それでも生にしがみつき、ピアノと対話するショパン。そんな彼の祝福すべき時は、もうあと5年しか残されていなかったのです。
おすすめ平均:
芸術性とエネルギー
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非常に魅力的な演奏
姐さん昔は凄かった・・・快刀乱麻を断つ!
この曲の決定的名演と言えるような素晴らしさ
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