2010.08.26
Psycho 邦題:サイコ
サスペンス映画の巨匠、アルフレッド・ヒッチコックの代表作。原作はロバート・ブロックの推理小説。もちろんサスペンス。
アリゾナ州の田舎町ファーベル。不動産会社に勤めるマリオン・クレーン(ジャネット・リー)は、隣町で雑貨屋を営むサム・ルーミス (ジョン・ギャビン)と真昼の情事。二人は愛し合っていましたが、サムが別れた妻に多額の慰謝料を用立てる必要があり結婚できずにいました。
ある土曜の午後、マリオンは社長から不動産の契約金として客から預かった4万ドルを銀行に預けるように言いつけられます。しかし彼女は、この金があればサムと一緒になれるという誘惑に負け、銀行には行かずにサムの住む隣町にと向かいます。
途中車を買い換えますが、夜になって土砂降りとなり、疲労で眠くなった彼女は、街道から外れたうらぶれたモーテルに車を止めます。経営者のノーマン・ベイツ(アンソニー・パーキンス)は彼女を食事に誘いますが、彼の住まいであるモーテルの隣の古い屋敷からは、彼女を誘おうとするノーマンと彼女自身を激しくののしる彼の母親の声が聞こえてきます。
サスペンスというジャンルを築いたモニュメント的作品であり、またその出来自体も素晴らしい作品ですが、プロットとしての原作の優秀さも特筆すべきものがあります。
前半はマリオンの横領とその後の行動をサスペンス一杯に描いていますが、後半は完全に主人公が入れ替わることになります。まあこの辺は、是非ごらんになっていただきたいということで、内容はぼかしておきますが・・・。
この作品はたとえ国王たりとも、上映の途中での入場を禁じたというだけあって、全体の展開の大きな骨子となっています。
有名な浴室のシーンと緊張を高める音楽は、その後数々の作品において模倣やパロディを生み出しました。
緊張と恐怖を積み上げてゆく緻密な画面展開と共に、ちょっとした映像にさらなるサスペンス効果を生む映像テクニックが駆使されています。
サスペンスというカテゴリのなかった当時において、これだけの完成度のサスペンスの教本的作品を世に出したヒッチコック。数多い彼のサスペンス作品の中でも、個人的には最もお気に入りの一作です。
そしてサスペンスというジャンルを超えて、映像作品として観るものを引き込む作品とはかくあるべしというような、まさにお手本とすべき作品。
ヒッチコック作品やその他数多くの作品で、時にはその映像以上にシーンを盛り上げた音楽担当は、バーナード・ハーマン。彼の作品で最も好きなのは、1976年の「タクシードライバー」です。
有名な監督本人が登場するのは、マリオンが事務所に出勤した際に、事務所の外でウェスタンハットをかぶっている通行人が、ヒットコックその人です。
主演:アンソニー・パーキンス,ヴェラ・マイルズ,ジョン・ギャビン,マーティン・バルサム,ジョン・マッキンタイア,サイモン・オークランド,ジャネット・リー
監督:アルフレッド・ヒッチコック 1960年
原作:ロバート・ブロック
音楽:バーナード・ハーマン
BOSS的には・・・★★★★☆
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