2010.08.01

Movies

SERPICO 邦題:セルピコ

ニューヨーク市警に蔓延る汚職に立ち向かった、一人の私服警官を描いた警察ドラマ。実話に基づきピーター・マースが執筆した伝記の映画化。主演は若きアル・パチーノ。

1971年冬。ニューヨーク市警の麻薬捜査課の警官フランク・セルピコ(アル・パチーノ)が捜査中に重傷をおって病院に担ぎ込まれます。

serpico.jpg遡ること11年前の1960年。セルピコは希望と使命感に燃えて警察学校を卒業します。幼い頃からあこがれていた警官となった彼が、早速配属された82分署で見たものは、警官たちの収賄やさぼりでした。

自らの向上心からニューヨーク大学へ通うようになった彼は、そこで出会ったバレー・ダンサーのレズリー(コーネリア・シャープ)と同棲するようになります。

私服警官になるための訓練を受け、93分署に配属となった彼は、いきなり賄賂の分け前300ドルを渡されます。訓練時代の友人ブレア(トニー・ロバーツ)に相談し、調査部長に報告することになりますが、部長からはただ「忘れてしまえ」と忠告されます。

ブロンクス第7地区に新たに配属になりますが、ここは前の分署よりもひどい状態でした。賄賂をうけとらないセルピコは、次第に仲間たちから孤立してゆきます。

日本の警察だとまずこんなことはないのでしょうが、アメリカや中国、ソ連あたりでは警官という職業では、その立場を利用した副業が当たり前のように行われているようです。(わが国でもあるのかもしれませんが・・・)

この作品は、特にそんな状況のひどかった1970年代初頭のニューヨーク市警にあって、ただひとりその不正に立ち向かった一人のただの警官の奮闘を描いた実話物です。

自分自身を見失わないがために賄賂を否定し続けるセルピコと、自らのために受け取り続ける仲間たち。危険と隣り合わせの職場での、不信感と軋轢。そういう難しい役を、若きアル・パチーノが見事に演じています。彼の作品の中では、「ゴッド・ファーザー」についで好きな映画の一本です。

監督はポーランド系ユダヤ人のシドニー・ルメット。「12人の怒れる男」や「狼たちの午後」で有名な彼はブロードウェイ俳優を目指したこともあり、ユル・ブリンナーとは旧知の仲。

そしてジャジーな独特の音楽を担当したのは、ギリシャにおける20世紀最大の音楽家といわれるミキス・テオドラキス。地味なのですが、二転三転のシーンにそっと寄り添っています。

恋人役のバーバラ・イーダ・ヤング が話していた「王様と井戸」のお話。最近はこういう状況の中でも、勇気を持って内部告発する人が現れ、時々ニュースにもなっていますが、さて皆さんはそこまでして、正義を貫き通す自信がありますか?

出演:アル・パチーノ,ジョン・ランドルフ,ジャック・キホー,ビフ・マクガイア,バーバラ・イーダ・ヤング,コーネリア・シャープ,トニー・ロバーツ.エド・グローバー

監督:シドニー・ルメット 1973年

原作:ピーター・マース

音楽:ミキス・テオドラキス

BOSS的には・・・★★★★

セルピコ [DVD]

おすすめ平均:5
5沸々とこみ上げる怒りと情熱。
5「理想と現実」の狭間でもがく男の姿
5貫かれた正義
5組織社会で自分らしく生きることの難しさ。
5若いストレートなアル・パチーノも潔くてカッコいいです

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