2010.09.23
ショパン バラード第2番 ヘ長調 作品38(1940年)
ショパンが名曲「バラード第1番」を世に出してほどなく着手された、ト短調とは対極をなす第2番。シューマンは全くこの曲を評価してはいませんでしたが、視点を180度変えてみれば、この曲もやはりショパンらしさのあふれる美しい名曲です。
シューマンの評価の対象となった牧歌風の単純な主旋律で始まる第2番は、それでも彼にしか描きえぬ美しさに満ち、そしてその平和な情景は突然「プレスト・コン・フォーコ」の暴風雨にかき消されます。
再び静かな第一主題に戻るとまた、あの激しい第2主題が訪れ、そして6分後、主調のヘ長調ではなく深い静けさと悲しみに満ちるようにイ短調で終わりを迎えます。
青白い月が、よぎる雲にかき消され、再び現れる頃には、静かに夜も明け行くように・・・。手を握る誰かが、そこにいることを確かめたくなるような、そんな曲です。