2010.09.17
a Perfect World 邦題:パーフェクト・ワールド
脱獄犯とその人質となった少年の交流、それを追う老警察署長の心の葛藤を描いた犯罪ドラマ。主演はケヴィン・コスナー、共演・監督はクリント・イーストウッド。製作・撮影・音楽・美術などのスタッフは、イーストウッド作品の常連たち。
1963年、テキサス州。ハロウィンの夜、アラバマ刑務所に収監されていたブッチ・ヘインズ(ケヴィン・コスナー)とテリー・ピュー(キース・サセバージャ)は脱獄に成功します。
逃走の途中でとある民家に押し入った二人は、8歳になる少年フィリップ(T・J・ロウサー)を人質にとって逃走を続けますが、ブッチはフィリップに危害を加えようとしたテリーを射殺します。
州警察署長のレッド・ガーネット(クリント・イーストウッド)は、かつてブッチが10代の頃に、彼の更正を願ってあえて保護観察とせず少年院送りを画策したことがありました。しかしそれがあだとなってブッチは殺人の常習犯となります。
レッドはブッチをそこまで落としたのは自分のせいだという強い悔恨の念にかられ、なんとか自分の手で捕らえて再び更正の道を与えたいと思っていました。
一方、脱獄犯と人質と言う関係を超えて、逃走を続けるブッチとフィリップの間には、血を分けたもののような関係が芽生え始めます。
シンプルには、脱獄犯と人質の少年とそれを追う警察署長の物語。一歩踏み込むと、脱獄犯と人質の少年との心の交流を味わえる。
さらにもう一歩踏み込めば、普通の善良な人間と犯罪者との境界線の危うさ、それを裁く側の線引きの難しさあたりが見事に描かれており、その辺が恐らくイーストウッド監督が狙ったものだと思います。
それには主演のキャスティングが当たったということもあり、見ているわれわれがコスナーの奥底に善良なる心を見出そうとする心理も影響しているのでしょう。
そしてその、誰かの中に善良を見出してゆこうと言うメッセージ、それがささやかな一人一人の人生を「パーフェクト・ワールド」にできるたったひとつの手段であることを、この作品は伝えようとしているように思います。
ちなみに、ブッチが盗んで履いていたジーンズは「Levi's 501」でした!
出演:ケヴィン・コスナー,クリント・イーストウッド,ローラ・ダーン,T・J・ロウサー,キース・サラバージャ,レオ・バーメスター,
監督:クリント・イーストウッド 1993年
音楽:エニー・ニーハウス
BOSS的には・・・★★★★☆
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