2010.09.12
Murder on the Orient Express 邦題:オリエント急行殺人事件
フランスとトルコを結ぶ豪華寝台列車オリエント急行の中で起こった殺人事件に、名探偵ポアロが挑む、アガサ・クリスティの同名小説の映画化。ちょっと不可解なアカデミー賞助演女優賞受賞作品。
中東での仕事を終えて、カレー行きのオリエント急行に乗り込んだ私立探偵のエルキュール・ポアロ(アルバート・フィニー)は、車中で友人であり、オリエント急行を所有する国際寝台車会社の重役ビアンキ(マーティン・バルサム)と遭遇します。
イスタンブールを出て2日目の夜、列車は大雪のため進めなくなり停車。翌朝、1等寝台に乗っていた裕福なアメリカ人乗客のラチェット・ロバーツ(リチャード・ウィドマーク)が刺殺体で発見されます。
ポワロは友人ビアンキに捜査を依頼され、早速、国籍も身分も異なる同じ一等寝台の車掌と十二人の乗客たちの尋問を始めます。
本作は、クリスティの「そして誰もいなくなった」やエラリ・クイーンの「Zの悲劇」同様の、あっと驚く結末的作品で、つまりは結果を知っている場合には作品の醍醐味は半減してしまいます。
大学生のときにクイーンとクリスティは、短編も含めてほぼすべて読破した、「ハヤカワミステリ」購読者の私はもちろんその一人なのですが、それはそれとして本作は豪華キャスティングとアルバート・フィニーによるポアロらしさ、そして彼の謎解きを進めるアプローチを、かえって真剣に観ることが出来ます。
そういう意味では、フィニーのポアロは原作から想像していたポアロ像にかなり近い。神経質でちょっとエキセントリックなところがあり、コロンボとはアプローチの違う、人を食ったような会話の中からさまざまなトリックを見破り、犯人と犯行の一部始終を解き明かしてゆく。
事件の真相に近づくと、必ずこう口走ります。
「私の灰色の小さな脳細胞が活動を始めた」
クリスティ作品では、ミス・マーブルよりもポアロが好きだったのですが、個人的に言わせていただくと物語的にはエラリ・クイーンが一枚上。というのは、いつもの女流○○嫌いだけでもありませんよ。
監督は、「十二人の怒れる男」「セルピコ」「狼たちの午後」のシドニー・ルメット。
まあ、何はともあれクリスティ作品の映画版では個人的に最良の一作。この秋は、ミステリーでもいかがですか?
ああ、くれぐれも熊倉一雄さんの吹き替えではご覧にならないように・・・
「ゲ、ゲ、ゲゲゲの・・・」
出演:アルバート・フィニー,ローレン・バコール,マーティン・バルサム,イングリッド・バーグマン,ジャクリーン・ビセット,ジャン=ピエール・カッセル,ショーン・コネリー,ジョン・ギールグッド,ウェンディ・ヒラー,アンソニー・パーキンス,ヴァネッサ・レッドグレイヴ,レイチェル・ロバーツ,リチャード・ウィドマーク,マイケル・ヨーク,コリン・ブレークリー
監督:シドニー・ルメット 1974年
原作:アガサ・クリスティ
BOSS的には・・・★★★☆☆
おすすめ平均:
アルバート・フィーニーの素顔は?
今後も何回も観たい映画
クリスティは
今の子供たちにも見せてあげたいです
A・クリスティ原作の映画では最高の娯楽作
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