2010.09.26
On Her Majesty's Secret Service 邦題:女王陛下の007
ボンド役に初めてショーン・コネリーではなくジョージ・レーゼンビーを迎え、監督もこれまでシリーズの編集を手がけていたピーター・ハントが初メガホンの、シリーズ第6作。
宿敵であるスペクターの首領ブロフェルド逮捕を目的としたベッドラム作戦中のボンド(ジョージ・レーゼンビー)は、ポルトガルで美しく破天荒な女性トレーシー(ダイアナ・リグ)と出会います。
彼女は表は世界をまたにかけるコングロマリット、裏では犯罪を仕切るユニオン・コルスのボスであるドラコ(ガブリエル・フェルゼッティ)の一人娘でしたが、自虐的な生活を送る彼女の身を案じたドラコからボンドは、彼女と結婚するように依頼されます。
ドラコからブロフェルドの情報を得ようと彼女に近づいたボンドは、いつしか彼女を真剣に愛するようになります。
ロンドンに戻ったボンドは、Mから作戦からはずすことを命じられ、辞職で応じようとしますがマニーペニーの機転で休暇扱いとなります。そしてドラコから得た情報を元に、アルプスの研究所に潜入することになります。
のっけからこれまでのシリーズとは全く異なる雰囲気。それはボンド役が愛すべきショーン・コネリーではないことだけでなく、シーン展開も映像事態もなんだか007を観ているとは思えない。
物語としては最も原作に忠実に描かれているのかもしれませんが、監督がピーター・ハントになったことも含め、独特のスパイ映画となっています。
前半のトレーシーやドラコとのやりとりも、何のことかよくわからない。いつもならいきなり核心に迫る事件が勃発するのですが、今回はなんだか「ドラマ」が展開している。
作品のタイトルを表すのは、冒頭の一瞬だけ。そういう判りにくさも、本作が盛り上がりに欠ける一因かもしれません。だって、このシリーズって、走り回り飛び回り、ぶっ放しまくって、ベッドインでもぶっ放し・・・(笑)そういう単純なところが、安心して観られるよさでもあるのですから。
ボンドはアストン・マーチンに乗って現れるのですが、ボンドカー的な活躍には寄与しない。特殊兵器も活躍の場がなく、さすがにベッドシーンはあれど水着のシーンはなし。(笑)
冒頭には初代ボンドにあてつけたような自虐的な台詞もありますが、全体的にはジョークも少なくかなりシリアス。なんたってエンディング近くでは、ボンドは結婚式までやっちゃいますから。
ボンド役抜擢を鼻にかけたジョージ・レーゼンビーの個人的な問題で、1作のみの出演となりましたが、それはそれで「よかった!」と心から思ったコネリーファンだけでなく、ロジャー・ムーアシリーズの、知的でスマートなボンド像への橋渡しとなった本作。
そういう歴史的な意味だけでなく、ピュアなスパイ映画と割り切ってみれば、それはそれでなかなかの作品かもしれません。
シリーズファン唯一の発見は、「宿敵ブロフェルドって、なんだテリー・サバラスだったんだ~」なんて・・・。
コネリーファンからすると★ひとつ? 雪道でのタイヤのスキッド音も、コネリーなら許せたけど・・・。
出演:ジョージ・レーゼンビー,ダイアナ・リグ,テリー・サバラス,バーナード・リー,デスモンド・リュウェリン,ロイス・マクスウェル,ガブリエル・フェルゼッティ
監督:ピーター・ハント 1969年
BOSS的には・・・★★★☆☆
おすすめ平均:
ミス・マネー・ペニー
oo7がコードネームであることを思い出させ
ボンドが結婚!?
やや長尺ですが良作。
2代目ボンドのジョージ・レーゼンビー伝説
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