2010.09.27

COLUMN

「イチローとマエケン」

9月23日 対ミルミル戦。8回表にベンチに下がったマエケンがグラブを椅子に叩きつけた。投手にとってグラブは、バッターにとってのバットと同じ。そこでNHKが放映したイチローの特集番組を思い出しました。

ある試合で、ヒットで一塁に出たイチローの目に飛び込んできたのは、ホームベース付近に残った彼のバットをあろうことか足で蹴り上げようとした主審。すぐさまイチローは主審に猛烈に抗議。見たこともないイチローの剣幕に監督が飛び出してきてその場は何とか収まったという話。

イチローにとってはバットは「神聖なもの」というよりは、すでに「身体の一部」だかららしい。

私はマエケンにとってのグラブは、捕手からの捕球の道具でも、まれの守備の道具でもないことを知っている。彼にとって、グラブは彼自身の一部だと。

そんなグラブを叩き付けた彼の「悔しさ」、自分自身に対する悔しさは、私のような凡人には計り知れない。

小賢しい人間を含め弱い人間ほど、何かあるとそれを自分以外の他人のせいにしたがる。試合の勝敗の責任は先発投手だけが背負うものではない。マエケンがいくら若いといっても、そのくらいは彼も知っている。

それでも許せない、自分自身のふがいなさ、ちいさな失敗に対する責任感。日本を代表するアスリートだけでなく、私たち一人一人がそれぞれの立場で背負った大小さまざまな責任に対して「強い意識」を持つことが、個人とチーム、組織を勝利に導くちいさな1歩になる。

そんなことを、「世界のイチロー」と「僕らのカープ」のエース、21歳のマエケンに教えてもらいました。

カープファン、野球ファンでよかった!

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