2010.09.04
Singin' in the Rain 邦題:雨に唄えば
ハリウッドがサイレント映画からトーキー映画に切り替わる時代をコメディ・タッチで描いたバックステージ・ミュージカル作品。「巴里のアメリカ人」などと並び称されるミュージカルの傑作映画。
サイレント映画全盛の時代。俳優のドン(ジーン・ケリー)と女優のリナ・ラモント(ジーン・ヘイゲン)は映画会社屈指のドル箱スターで、憧れのカップルとして人々の注目を浴びていました。
しかし実際はリナの一方通行。そしてドンは駆け出しの女優キャシー(デビー・レイノルズ)と恋仲になってしまいます。
やがて世界初のトーキー映画「ジャズ・シンガー」が大ヒットを収め、ハリウッドにはトーキーの波が押し寄せてきます。
当時作りかけだった二人の恋愛作品を急遽トーキーで撮影することにしますが、ノウハウを全く知らないスタッフに加え、リナのすっとんきょうな悪声のため、試写会は笑いの渦に。
このままこの作品を公開することは、自らの俳優人生が崩壊すると危惧したドンと親友のコズモ(ドナルド・オコナー)、キャシーの三人は、この映画をミュージカル・コメディに作り変えることを思い立ちます。
ブロードウェイにはブロードウェイの、ハリウッドにはハリウッドの楽しさや醍醐味があるのは今や常識ですが、それぞれの愛すべき融合を試みた秀作がこの当時、何作も生まれます。
全体的には舞台タッチで歌や踊りは躍動感にあふれています。ケリーとオコナーの二人の繰り広げるタップダンスは、それはそれは見もの。
そしてスクリーンだと登場人物の表情などが映し出され、お芝居にアーティスティックなテイストといいますか、奥行きがぐっと出来てきます。
そのいい例が有名な、ケリーが主題歌を雨中で歌い踊るシーン。彼をそうさせた心情が観ている私たちに見事に伝わります。このシーンが傑作シーンとして世に言われるのもうなずけます。
楽しく愉快に楽しめる、後世に残したい上質のコメディ、いやミュージカルです。
出演:ジーン・ケリー,デビー・レイノルズ,ドナルド・オコナー,ジーン・ヘイゲン,ミラード・ミッチェル,シド・チャリシー,リタ・モレノ
監督:ジーン・ケリー,スタンリー・ドーネン 1952年
BOSS的には・・・★★★☆☆
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