2010.10.03
ショパン バラード第3番 変イ長調 作品47(1941年)
N響アワーでは、御歳86歳のマリナー指揮のブラ1をやってましたが、今夜の気分はショパンのバラード第3番です。
「バラード第1番」と双璧をなし親しまれているこの3番は、全4曲のバラードのうち最も華麗でありまた軽快な曲となっています。
それは当時のショパンがパリ社交内の中に溶け込み、心のうちにも平安を覚えていたからでしょう。
シューマンはこう評します。「フランス首都の貴族的環境に順応した、洗練された知的なポーランド人が、その中に明らかに発見されるであろう」と。
しかしその印象は決してサロンの虚ろう華麗さではなく、ショパン独特のロマンティシズムとリリシズムにあふれたものであり、彼の心情を知的に処理したに過ぎないことがわかります。
夜のサロンの人口光の下の華やかさではなく、昼間の太陽の輝くまぶしさでもなく、少し遅くおきた曇った空の朝に、紅茶の湯気に包まれて、故郷を思って聴いていたい一曲です。