2010.10.15
One Flew Over the Cuckoos Nest 邦題:カッコーの巣の上で
厳しい管理化の精神病院に置かれた人間の、自由と尊厳のありようを描いた社会派映画。サイケデリック・ロックの始祖ケン・キージー著作のベストセラー小説の映画化。若きジャック・ニコルソンが名演。アカデミー賞作品賞・監督賞・主演男優賞・主演女優賞・脚色賞受賞作品。
1963年。刑務所の強制労働を免れようと狂人を装ったランドル・マクマーフィ(ジャック・ニコルソン)が、オレゴン州の州立精神病院に連れてこられます。病院は看護婦長ラチェッド(ルイーズ・フレッチャー)の絶対的権限のもとに運営されていました。
患者たちは、生気のない植物のような生活を送っていました。マクマーフィーは大リーグの中継をテレビで見られるように提案。一応患者たちの多数決で決めることになりましたが、自意識のない患者たちから意見を引き出すことすら難しい状況で、要求は却下されます。
ある日、バスを奪ったマクマーフィーは、患者たちと小さな港に向かいます。女友達も呼び、釣り船に彼らを乗せて外洋に向かいます。
いわゆるアメリカン・ニューシネマの一作。ジャック・ニコルソンの出世作でもあります。原作者のケン・キージーは、ヒッピーコミューンのリーダーであり、ジミ・ヘンドリックスとも交流がありました。
監督のミロシュ・フォアマンはチェコ・スロヴァキア出身。84年の「アマデウス」でもアカデミー賞監督賞を受賞し、最近では「宮廷画家ゴヤは見た」で有名。本作の映画化には、相当の困難があったようです。
施設の厳しい管理システムという視点は、あまり強調されていません。それよりも「正気と狂気」「生きることと死ぬこと」「自由の意味」「個人の尊厳」等々、地味な映像と展開、キャストにこの作品は、しかしながらたくさんのそういった問題定義を投げかけてきます。
それを「正気な普通の男」として訴えかけるジャック・ニコルソンの演技は、それはそれは素晴らしい。実際、よくよく考えてみれば、彼は私の最も好きな男優の一人かもしれない。5年前にはイージー・ライダー、そして5年後にはあのシャイニングに主演します。
結局、人間とは何かに分類できるような単純なものではなく、またグルーピングできるような同一性は、当てはめる側の勝手な論理に過ぎない。そして人はいつでも、自由を求めて人生を彷徨うものだと、ネイティブ・アメリカンのチーフを見て思いました。
最後の3分間がすべてを物語る作品。
出演:ジャック・ニコルソン,ルイーズ・フレッチャー,ウィリアム・レッドフィールド,マイケル・ベリマン,ピーター・ブロッコ,ディーン・R・ブルックス,アロンゾ・ブラウン
監督:ミロシュ・フォアマン 1975年
BOSS的には・・・★★★★☆
おすすめ平均:
人間から脱走した男
心にぽっかりあいたあな チェスに持ってかれたんだな。
抑圧的で反体制の人間を排除する社会への、アンチデーゼ
社会という隔離装置
ニコルソンの脇を固める名俳優たち
Amazon.co.jpで見る by Azmix
もっとムービー・アーカイブスはこちら >>> 「ムービー・インデックス」