2010.10.28
キューポラのある街
サユリストの皆さん、お待たせいたしました。今年の文化功労賞を受賞した女優吉永小百合の出世作。早船ちよの原作を「復讐するは我にあり」「カンゾー先生」でメガホンを取った今村昌平が脚色、彼の門下生である浦山桐郎監督デビュー作の社会派ドラマ。モノクロ作品。
昭和30年代の終わり。舞台は鋳物製造の盛んな町、埼玉県川口市。昔の怪我で足を引きずりながら炭焚きをしている職人気質の石黒辰五郎(東野英治郎)は、大工場に合併吸収された工場を解雇されます。
貧しい長屋暮らしの辰五郎の息子タカユキ(市川好郎)は些細なことで家を飛び出し、友人サンキチ(森坂秀樹)のところに転がり込みます。辰五郎は、サンキチの父(浜村純)が朝鮮人であるという理由で、二人の付き合いを嫌がっていました。
中学3年になる娘ジュン(吉永小百合)は、タカユキが鳩のことでチンピラに因縁をつけられたことを知り、チンピラの溜まり場に乗り込んで彼を救い出します。
スタインベックを彷彿させるドラマには、貧困や都市化に伴い複雑になる家族の関係、小中学生の不良化や民族問題、そして友情や性の問題などが埋め込まれています。
そういうがんじがらめの暮らしの中でも、まっすぐに凛として生きてゆく少女ジュンの姿は、静かな感動を与えてくれます。
時代や国家、身の回りでも個人ではどうすることも出来ない大きな問題に翻弄されても、一人の人間として誠実に生き、家族や身近な人との関係の中に小さな喜びを積み重ねてゆくこと。これはいつの時代でも普遍の、あるべき人の姿なのでしょうね!
音楽は、あの黛敏郎です。
出演:東野英治郎,杉山徳子,吉永小百合,市川好郎,鈴木光子,森坂秀樹,浜村純,菅井きん,浜田光夫
監督:浦山桐郎 1962年
原作:早船ちよ
脚色:今村昌平,浦山桐郎
音楽:黛敏郎
BOSS的には・・・★★★☆☆
おすすめ平均:
厳しい現実を描きながら希望を感じさせるストーリーが秀逸
大学の先輩・吉永さん
みんな明日を信じてた
ジュン
映像が悪い、しかし、昭和30年代に生まれた諸君、感動せよ!
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