2010.11.18
ショパン スケルツォ第1番 ロ短調 作品20(1832年)
今夜はエチュードとともに、ショパンの心情吐露となるスケルツォの第1番をご紹介します。
ヨーロッパの伝統をくむ舞曲であるメヌエット。そのメヌエットをハイドンやモーツァルトから受け継ぎ自らの交響曲の第3楽章に織り込んだのはベートーヴェン。イタリア語でスケルツォとは「冗談」という意味です。
スケルツォは特定の形式や拍子テンポに束縛されないため、独立した楽曲としてショパンは、4曲残されたスケルツォにそのときの心情を埋め込みます。
第1番では、まだ伝統的な3部形式を踏襲されていますが、祖国の革命とロシアによる鎮圧の悲報を聞いた彼の激しい感情の模様が込められており、すでに彼独自のスケルツォのありようが提示されています。
「失望の叫び」と称される2音の不協和音で始まるこの曲は、彼らしい繊細な美しさを垣間見せながらも、不協和音の連打や半音階的スケールで展開されています。
ショパン22歳。若き魂の情熱と憤り、悲しみと望郷。悲劇に見舞われた祖国と、そこにいない自分への「諧謔(かいぎゃく)」なのです。