2010.11.16

POPS

America by Simon & Garfunkel(1968)

1970年ごろの僕にとって、アメリカは兄貴のようだったし、親父のようでもあった。そんなアメリカに憧れると同時に、実は僕はその時青春をさ迷っていた。そして実は、アメリカも、アメリカの若者も、彼らの人生をさ迷っていた。

泥沼のベトナム戦争、出口のない公民権運動、目標を無くしたヒッピー・ムーブメント。子供心に、兄貴の心の痛みがわかるような気がした。



「America」



結婚を誓った二人が、長距離バスの旅に出る。心は空っぽで何でも詰められるのに、どこに行っても何も詰めるものがない。それは旅というよりは人生そのもの。



サイモンとガーファンクルといえば「明日にかける橋」や「サウンド・オブ・サイレンス」とかのカラフルな歌が有名ですが、僕は彼らのこんなモノクロームな世界が大好きでした。いやもちろん、今でもね。



America by Simon & Garfunkel



「僕たち、

ずっと恋人でいよう

結婚しよう

二人の全てをわかちあって」

「少しの不動産なら、

ほら私の鞄にあるわ」

で、僕たちは煙草を一箱と

ミセス・ワーグナーの

パイを買った

アメリカを探す

旅に出るために



「キャシー?」

ピッツバーグで

グレイハウンドに乗るときに

僕は彼女に声をかけた

「僕には今はミシガンさえ

夢のようだよ」

サギノーから

ヒッチハイクで4日

僕はアメリカを

探しにやってきた



バスの中で

僕たちははしゃいだ

乗客の顔をネタにして

「あのギャバジンスーツの

男はスパイよ」

と彼女が言う

僕は言った

「気をつけろ

あの蝶ネクタイは

本当はカメラなんだ」



「煙草をとって!

僕のレインコートに

ひとつあったはず」

「一時間前に

最期の一本吸ったじゃない」

仕方がないから僕は

窓から景色を眺めていた

彼女は雑誌を読んでいて

そして

開けた荒野には

月が浮かんでいた



「キャシー?

僕はどこにいるの?」

僕は尋ねた

彼女が寝ていることを

知っていたけれど

「空しくて心が痛む

何故かわからないけれど」

ニュージャージーの高速道路で

走り去る車の数を数えていた

彼らもみな

アメリカを探しに来たんだ

本当のアメリカを探しに

誤訳:BOSS

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