2010.11.13
Bonnie and Clyde 邦題:俺たちに明日はない
1930年代の大恐慌時代のアメリカに実在した銀行強盗、クライド・バロウとボニー・バーカーの半生を描いたドラマ。いわゆるアメリカン・ニューシネマの先駆的作品。アカデミー賞助演女優賞・撮影賞受賞作品。
早朝のとある田舎町。窃盗で刑務所を出所したばかりのクライド(ウォーレン・ベイテイ)は、道端に止めてある1台の車に目をつけます。乗り逃げようとたくらむ彼の邪魔をしたのは、車の持ち主の娘ボニー(フェイ・ダナウェイ)でした。
お互いに惹かれるものを感じた二人は、意気投合。時は大恐慌時代で、まともな仕事もない。ちょっと強がって押し入ったドラッグストア強盗から、二人は引き返せない犯罪者の道を歩み始め、それに伴って二人の愛も深まってゆきます。
たまたま通りかかったガススタンド店で知り合ったC・W(マイケル・J・ポラード) を加えた3人で銀行強盗を重ねてゆきます。そして3人はクライドの兄バック(ジーン・ハックマン)をたずね、バックの妻ブランシュ(エステル・パーソンズ)を加えた5人の犯罪はますますエスカレートしてゆきます。
5人組の強盗団は「バロウズ・ギャング」として新聞で大々的に報道されるようになる。銀行から金は奪っても、居合わせた普通の人からは金を奪わなかった彼らを、人々は「大恐慌時代のロビン・フッド」と呼んで、彼らは一躍時代のヒーローとなります。
民衆から受け入れられ、犯罪を繰り返す彼ら。しかし、警察も黙ってはいません。やがて彼らはその捜査網の網の中に追い込まれてゆきます。
公開当時は、ストレートな暴力表現や性の問題を取り上げたため、保守的な批評家からはさまざまな非難を浴びました。しかし、一部の批評家や映画評論家の賞賛により、その価値が認められ始め、今では60年代を代表する作品と称されています。
実話といいますか、原作に基づく展開ではありますが、ローカルな窃盗から銀行を襲撃するようになり、そして一般庶民からヒーロー視され仲間としての一体感が生まれ、犯罪者なりにその人生を謳歌する彼ら。
そして残り数分で、一気に物語りはピークを迎えます。有名な「死のバレエ」のシーンです。とりあえず二人が受けた銃弾の数は「87発」だそうですが・・・。
まあ、21世紀を迎えた我々にとっては、よくある映画、よくある映像かもしれませんが、本作が公開されたのはなんべいといってもベトナム戦争末期の1967年。つまり、本作が後々の作品に与えた影響というのは多大なものであったことがうかがえます。
逆に言えば、映画ってもしかしたらこの40年余り、ほとんど進歩していないということなのかもしれません。監督のアーサー・ペンは、この後「タワーリング・インフェルノ」で有名になりました。
そして主人公のウォーレン・ベイテイ。私生活では何かとお騒がせな彼の衝撃のデビュー作、青臭くて大好きな「草原の輝き」から6年後の本作。製作も手がけた彼は、この後も出演だけでなく製作・プロデュースにもかかわってゆくようになります。
フェイ・ダナウェイにとっても出世作。アカデミー賞こそエステル・パーソンズに贈られましたが、微妙な役柄を演じきっているのは彼女の方だと、私などは思うのですが・・・。
法を犯せば法に報わせられる。それよりも人の道を犯さなければ、寿命の長短は別にして人として喜びを感じながら生きることができる。そんな、自分の暮らしとダブらせ、自身の生き方を再確認することができるという意味で、やはりこの作品は「ニューシネマ」なんでしょうね。
ええ、私は決して銀行強盗が職業ではありませんが・・・。
出演:ウォーレン・ベイティ,フェイ・ダナウェイ,マイケル・J・ポラード,ジーン・ハックマン,エステル・パーソンズ,デンバー・パイル,ダブ・テイラー,ジーン・ワイルダー
監督:アーサー・ペン (1967年)
製作:ウォーレン・ベイティ
音楽:チャールズ・ストラウス
BOSS的には・・・★★★★☆
もっとムービー・アーカイブスはこちら >>> 「ムービー・インデックス」