2010.11.29
The Phantom of the Opera 邦題:オペラ座の怪人
「キャッツ」や「エビータ」などの大ヒット作を世に出した天才作曲家アンドリュー・ウェバーによる最大のヒット・ミュージカルの本人製作による映画化作品。原作はフランスの推理小説作家ガストン・ルルー。
1919年のパリ。かつて貴族や金持ちを集め、その絢爛さと賑わいに溢れていたオペラ座は廃墟となっていました。ある日、一般市民向けのオークションが行われ、そこには老紳士ラウル・シャニュイ子爵(パトリック・ウィルソン)と年老いたバレエ教師、マダム・ジリー(ミランダ・リチャードソン)の姿がありました。
やがて、惨劇の原因となった豪華なシャンデリアがオークションにかけられ、二人は40年前に引き戻されます。
1870年代当時、栄華を極めていたオペラ座でしたが、奇怪な事件が続いていました。ある日、新しいオペラ「ハンニバル」の初演を迎えたリハーサル中、プリマドンナのカルロッタ (ミニー・ドライヴァー)の頭上から背景幕が落下。彼女は役を降板し、バレエ教師ジリーの推薦で、名もないバレーダンサーのクリスティーヌ(エミー・ロッサム)が抜擢されます。
大成功を収めた初演。クリスティーヌは幼馴染のラウルと再会します。ラウルはオペラ座の新しいスポンサーとなっていました。しかし、彼女は間もなく仮面をかぶった怪人ファントム(ジェラルド・バトラー)にオペラ座の地下深くにある彼の住処の迷宮に連れ去られます。
本作は、原作である小説ではなく、大ヒットしたオペラの方の映画化です。ですからあの有名なおどろおどろしい音楽が想起する怪奇ものというよりはミュージカル仕立ての、あえて言えば怪人ファントムの悲哀の物語です。
ミュージカル自体は劇団四季でも演じられ、ご覧になった方も多いと思いますが、正直私は観ていません。そういうことで語る言葉も少ないのですが、ウェバー自身が製作に携わったということで、映像化には成功しているのではないかと思います。
とにかく美しい映像美です。舞台はオペラ座とファントムの地下洞窟がメインとなりますが、この喜びと悲しみの場所の対比も美しい映像の中で展開され、このあたりは映画ならではですね。
ガストン・ルルーと言えば、私的には「黄色い秘密の部屋」で行われた犯罪と、都筑道夫著「黄色い部屋はいかに改装されたか」。本作とは直接関係ありませんが、ルルーつながりで、推理小説好きの方は是非ご一読ください。
普通に見れば、あるいは水戸黄門的に見れば、ファントムは悪人なわけですが、個人的にはどうしても彼に感情移入してしまう。それが冒頭の「悲哀」という表現になるわけですが、さて皆さんは、どちらの味方?
出演:ジェラルド・バトラー,エミー・ロッサム,パトリック・ウィルソン,ミランダ・リチャードソン,ミニ・ドライヴァー,シアラン・ハインズ,サイモン・カロウ,ジェニファー・エリソン
監督:ジョエル・シュマッカー 2004年
製作:アンドリュー・ロイド・ウェバー
脚本:ジョエル・シュマッカー,アンドリュー・ロイド・ウェバー
原作:ガストン・ルルー
作曲:アンドリュー・ロイド・ウェバー
BOSS的には・・・★★★☆☆
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