2010.12.25
THE GREAT ESCAPE 邦題:大脱走
第ニ次世界大戦末期に実際にあったドイツ軍捕虜収容所からの大量脱走を、当時の5大スター共演で描いた、戦争アクション。
第二次世界大戦も末期の1944年3月。ベルリンの南東160kmにあるザーガンに新たに建設された北部第三捕虜収容所。そこに連れてこられたのは札付きの脱走常習者たちでした。
彼らの多くは、イギリス軍とアメリカ軍の爆撃機の搭乗員。当時はまだ、内地の奥深くまで爆撃機を護衛できる戦闘機がなかったため、数多くの爆撃機がドイツ軍により撃墜され、脱出した搭乗員たちが捕虜となっていたのです。
連合軍の捕虜となった軍人の務めは、収容所を脱走してその探索のために敵の兵力をあてがわせ、前線部隊への兵力削減を図ること。入所早々、鉄条網を調べるヒルツ(スティーブ・マックィーン)やトラックからペンチを盗むヘンドレー(ジェームズ・ガーナー)たち。
そして間もなくイギリス空軍中隊長シリル(リチャード・アッテンボー)が入所すると、大規模な脱走計画が立てられます。それは、収容所の建物の床下から森まで、数百メートルの脱出用トンネルを3本掘り、一度に250名全員が脱出するという壮大なものでした。
長いです。3時間です。前半はちまちました脱走と逮捕、計画とトンネル掘りの日々。後半、脱走が決行されると一気に緊張感が高まります。
原作はイギリス空軍の誇る戦闘機スピットファイアーのパイロットで、この大脱走にも参加していたポール・ブリックヒルのベストセラーとなった同名小説。で、基本的には限りなく史実に忠実に映像化されています。
ただ、ノンフィクション特有の、ちょっとだるい展開もあったりして、さすがに現代のあわただしい作品の標準からすれば、2時間でもできなくはなかったかな?という内容です。
まあただ、スティーヴ・マックィーン、ジェームズ・ガーナー、リチャード・アッテンボロー、ジェームズ・コバーン、チャールズ・ブロンソンという、当時の売れっ子大スターを5人もそろえた映像は、収容所の室内が背景の時間が多いとはいえ確かに圧巻です。
スティーヴ・マックィーンがバイクで広い草原を逃げ回るシーンはかなり有名。そして有名といえば、エルマー・バーンスタインの手によるテーマソング「大脱走のマーチ」。
事実から言えば、このときの大脱走で実際ドイツ軍は76人の探索に7万人のドイツ軍を投入。脱走兵のうち50名はゲシュタポにより射殺されますが、この被害でこれだけの兵力を実際の戦闘以外に縛り付けたと言うことは、作戦的には大成功だったわけです。
ちなみに捕虜は「ハーグ陸戦条約」によりその人名を原則的には保護されるのですが、その場合は正しく「捕虜」でなければならない。つまりきちんと軍服を着ていないといけないわけです。
本作でも史実どおり、50名の脱走兵がゲシュタポにより射殺されますが、彼らは逃走のために私服を着ており、この場合スパイ容疑で簡易裁判により銃殺刑ということになるわけです。
ただ、敗戦国となった場合は、その裁判の正当性などを問われて、指揮をした上官は厳しく罪を問われることになりますが・・・。
監督は「OK牧場の決闘」「老人と海」「荒野の七人」のジョン・スタージェス。0011ナポレオンソロのイリヤ役だったデヴィッド・マッカラムも活躍しますが、ドイツ将校がはまりやくのデビッド・ボーンは出ていません。(笑)
正直、ファンのいない女性には厳しい3時間かも・・・
出演:スティーヴ・マックィーン,ジェームズ・ガーナー,リチャード・アッテンボロー,ジェームズ・コバーン,チャールズ・ブロンソン,デヴィッド・マッカラム,ハンネス・メッセマー,ドナルド・プレザンス
監督:ジョン・スタージェス 1963年
原作:ポール・ブリックヒル
音楽:エルマー・バーンスタイン
BOSS的には・・・★★★☆☆
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