2011.01.16

Movies

ALWAYS 三丁目の夕日

昭和30年代の東京の下町を舞台に、街の人たちの暮らしや暖かい心の交流を描いたドラマ。西岸良平のコミック「三丁目の夕日」の映画化作品。「昭和回帰現象」にのって大ヒットしました。

昭和33年、東京のとある下町、夕日町三丁目。暖かい春の日、気短だけど家族思いの父則文(堤真一)、母トモエ(薬師丸ひろ子)、小学生の一平(小清水一揮)の3人が暮らす小さな自動車修理工場「鈴木オート」に、東北青森から星野六子(堀北真希)が集団就職でやってきます。

sanntyoume.jpg大企業を想像していた六子は、町工場である「鈴木オート」にがっかり。そんな彼女を一平は、「もうすぐうちにテレビがやってくる」と元気づけます。

一方、向かいの駄菓子屋の主人で三流作家の茶川竜之介(吉岡秀隆)は、思いを寄せる飲み屋の女将ヒロミ(小雪)に頼まれ、身寄りのない少年淳之介(須賀健太)を酔った弾みで預かることになります。

季節は流れ夏になり、鈴木家に待望のテレビがやってきます。力道山の試合を近所の人たちと観戦しようとお披露目を催します。ところが、皆が一緒になって応援している最中に突然画面が消え、修理をしようとした竜之介の手によりテレビはばらばらにされてしまい電気屋さんに引き取られてゆきます。

雑誌「少年冒険団」に記事を投稿していた竜之介でしたが、ネタに困り、雑誌の大ファンだった淳之介がノートにつづっていた次作の物語を盗用。淳之介にはそのことを隠そうと画策するのですが・・・

ちょうど私が生まれた頃の物語です。公開当時、映画館に押しかけた人たちにもそういう方が多かったはず。幼い頃の思い出に浸りながら見させていただきました。

次第に完成してゆく東京タワーや蒸気機関車、都電の走る下町の町並みなど、VFX技術を駆使した映像は、昔を思い起こさせるには十分の出来。画面上でのリアルとのミスマッチは返って「映画」であることを印象付けます。またオープンセットや小物などもかなり時代考証をされたようです。

ただ、出てくる本物のミゼットや扇風機、家々にかかる看板などが、現在入手できる当時のものを使ったせいか、やけに錆びてたり古びたりしてて、一体いつからあったのか?と思わせるのは、ちょっと興ざめです。

同様に、物語や出来事自体にも懐かしさのリアリティを求めすぎると、劇画タッチの展開が気になる方もいるかもしれません。

現代人が亡くしてしまったと言われる、あのころの「日本人」のよさ、暖かさ、人間らしさ。しかし、私たちの体内には同じ血が脈々と受け継がれていることは、この映画に笑い泣くことで理解できます。

個人的には「博士の愛した数式」以来、主人公の一人である性格俳優吉岡秀隆のふにゃふにゃした仕草や物言いがどうもすっと入ってこないのですが、周りの役者人の名演とのかみ合わせはうまく言っていて、これはこれでよく出来たキャスティングだと思います。

素晴らしい興行成績を収めた本作は、続編はさらにヒットします。一躍有名になったCGプロデューサーの監督、山崎貴は最近では実写版ヤマトを手がけましたが、こちらは個人的な理由でまだ観ていないので、その出来は不明です。

邦画の場合、なかなか感動ものの洋画みたいにはいかないのですが、その理由が時代背景といいますか、そういう世界が作りきれないところにあることが、本作を見ると逆にとても大事なことなんだとわかります。

皆さんは、古きよき「昭和ワールド」の入り口に立つことになります。

出演:吉岡秀隆,須賀健太,小清水一揮,堤真一,薬師丸ひろ子,小雪,堀北真希,三浦友和,もたいまさこ,小日向文世,益岡徹

監督:山崎 貴 2005年

BOSS的には・・・★★★★

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