2011.01.28
BOB DYLAN :NO DIRECTION HOME 邦題:ボブ・ディラン ノー・ディレクション・ホーム
ロックの殿堂入りを果たし、ひとつの時代、ひとつの世界を築いたシンガー、ボブ・ディランの自伝的ドキュメンタリー映画。監督は巨匠スコセッシ。
1950年代半ば。大戦には勝利したものの国は疲弊し、冷戦とキューバ危機、核の脅威や人種問題の嵐の中で、それでも人々は明日と希望を模索していました。
アメリカ北部のミネソタ州の小さな町ダルースに生まれた彼は、幼い頃ハンク・ウィリアムズの洗礼を受け、またハイスクールでは当時の若者の例にもれずプレスリーの影響を受けてバンドを組みます。
高校を卒業するとすぐに町を出て、ミネソタ大学に入りますが、音楽に明け暮れていた彼は2年で中退。そしてニューヨークで武者修行の日々を過ごします。
そこで彼が知り合った人々、見聞きしたものが、のちの彼の礎となります。そして1962年、大手レコード会社コロンビアから初めてのアルバムをリリースしますが、意に反してそれは2500枚ほどしか売れませんでした・・・。
ボブ・ディランと言えばやはり反体制の象徴、フォークの勇というイメージが強く、なんといっても「風に吹かれて」が有名ですよね。
そういう刷り込みは私だけではなくて、60年代半ばのストーンズやビートルズによるブリティッシュ・インヴェイジョンに影響を受け、アコースティックからエレキ・ギターに持ち替えた彼に対し、一部の人たちは「反逆者」の烙印を押しました。
彼の本名は、ロバート・アレン・ジマーマン。実は彼はユダヤ系の家系の生まれです。そして、ボブ・ディランというのは、いわゆる芸名なのですが、後に法律上の本名も変えました。
それはその生い立ちに対する決別だったのかもしれません。あるいは、ナショナリズムから世界の中の一人へのメタモルフォーゼだったのかも。そしてそのことが、彼の生き様に影を落とし、また逆に歌詞の内容に影響も与えたことでしょう。
3時間半に及ぶ本作は、ボブ・ディランという一人の人間の生き様だけでなく、50年代からの半世紀のアメリカ音楽、言い換えればそれはアメリカだけではなく世界のポピュラー音楽の歴史でもあり、またアメリカという国の歴史そのもののある側面でもあります。
もちろん監督はスコセッシですから、ただの自伝ドキュメント映像ではありません。
広く、アメリカンPOPSファンの方に。もちろん、ボブ・ディランのファンの方に。ドキュメント映像の関係者にも!
出演:ボブ・ディラン,ジョーン・バエズ,アレン・ギンズバーグ,アル・クーパー,デイブ・ヴァン・ロンク,ウディ・ガスリー,メイヴィス・ステイプルズ
監督:マーティン・スコセッシ 2005年
BOSS的には・・・★★★☆☆
もっとムービー・アーカイブスはこちら >>> 「ムービー・インデックス」