2011.01.07
Deux Hommes Dans La Ville 邦題:暗黒街のふたり
銀行強盗犯として十年の服役を終え仮出所した男がたどる苦難の道を描いた社会派ドラマ。アラン・ドロン&ジャン・ギャバンの共演・名演。
ジーノ(アラン・ドロン)は10年前に銀行強盗で逮捕されますが、保護司のジェルマン(ジャン・ギャバン)によって仮出所します。そして彼の出所を待ちわびた美しい妻ソフィー(イラリア・オッキーニ)との、ささやかで幸せな生活が始まります。
ある日、ジーノの出所を知った昔の仲間がやってきて彼に強盗の大仕事を勧めますが、ジェルマンとの再出発を誓ったジーノはその誘いをきっぱりと断ります。
犯罪暦のある「前科者」の彼に対して、社会は冷たい。しかし彼はジェルマンの支えもあって社会復帰の道を歩み始めます。
そんな矢先、ジェルマン一家とのピクニックの帰りにジーノの車は事故に巻き込まれ、最愛の妻ソフィーを失ってしまいます。
自暴自棄の日々も月日が癒し、ジーノはジェルマンの勧めで小さな印刷工場で働くことになります。事情を知る主人にも信頼され、新しい恋人ルシー(ミムジー・ファーマー)もでき、再び幸せな暮らしが訪れたと思った矢先、かつて彼を逮捕した警部ゴワトロー(ミシェル・ブーケ)が彼の前に現れます。
ジーノの再犯を疑うゴワトローは、執拗に彼に付きまといはじめます。そしてジーノのかつての仲間が銀行を襲撃すると言う事件が発生します。
タイトルは「暗黒街のふたり」。これを見ると、アラン・ドロンとジャン・ギャバンの二人のギャングの物語かと思ってしまいますが、原題を直訳すれば「街の二人」。で、物語と言えば前科者となったひとりの男の更正の難しさ、というより彼を受け入れない社会のひずみを描いた社会派ドラマです。
薄氷を踏んで歩くような難しい役を、アラン・ドロンが見事に演じきっています。そして押しとどめることのできない「社会正義」という荒波から彼を守ろうとするジャン・ギャバンのまなざし。
物語は終盤、なんともフランス映画らしい展開へと進みます。しかし、「社会」というもの、あるいは「世間」というものの持つ合法的な暴力の怖さを、ひしひしと感じさせると言う意味では、「太陽がいっぱい」に似たある意味スリラーでもあります。
さて、あなたはどちらの立場に立てますか?
出演:アラン・ドロン,ジャン・ギャバン,ミムジー・ファーマー,ミシェル・ブーケ,イラリア・オッキーニ,ヴィクトル・ラヌー,クリスティーヌ・ファブレガ
監督:ジョゼ・ジョヴァンニ 1974年
BOSS的には・・・★★★☆☆
もっとムービー・アーカイブスはこちら >>> 「ムービー・インデックス」