2011.01.26
IL CIELO CADE/THE SKY WILL FALL 邦題:ふたりのトスカーナ
第二次世界大戦末期のイタリア、トスカーナ地方に暮らすユダヤ人一家の物語。原作はロレンツァ・マッツェッティ。イタリア映画。
1943年、トスカーナ地方の小さな街に、交通事故で両親を失った幼い姉妹、姉ペニー(ヴェロニカ・ニッコライ )と妹ベビー(ラーラ・カンポリ)は、ユダヤ系の知識人で大地主のアインシュタイン(ジェローン・クラッペ)の妻で叔母(イザベラ・ロッセリーニ)のもとに引き取られてきます。
美しい大自然に抱かれ、良心を無くした悲しみも癒され、地元の子供たちに混じって彼女たちはのびのびと暮らしていました。
しかし、枢軸国の戦局は悪化。ムッソリーニが国王に逮捕されると、イタリア政府は連合国に休戦を申し入れます。そしてイタリアの各地がドイツ軍の指揮下におかれるようになり、二人の住む屋敷にもドイツ軍の将校が駐留してきます。
前半は二人のトスカーナでの暮らしがメインtなります。トスカーナと言えば美しい景色で有名ですが、作品はその美しい大自然と人々の暮らしを・・・描ききっているとは言えません。これはイタリア人監督の災いか・・・。よそ者なら、目をさらにしてそういう景色を拾いますからねぇ。
そして映画も半分を超える頃、突然大きく動き始めます。連合軍のシチリア上陸のニュースが流れ(この辺の詳細は映画「パットン大戦車軍団」をご覧あそばせ・・・)、一家の暮らしは一気にきな臭くなります。そしてドイツ軍の登場。
そもそもイタリアは、ドイツ軍とは同盟下にあるはずなのですが、庶民である彼らは連合国を待ちわびている。パルチザンもいるし・・・この辺が市民感情の非常にややこしいところで、このあたりをうまく描ききるとそれは素晴らしい作品になると思うのですが・・・。
つまり、本作ではほとんど描かれていません。「みなさん、この辺のことはすでにご存知ですよね!」という前提ありきの展開。
でも、冗長すぎる前半を絞ってでも、そういう人々の内面を描かないと、作品は決して人の心には入ってきません。
エンディング近くでは、想定外の悲劇も待っているわけですが、だからとてそれはせいぜい同情を呼び起こす程度のものであり、あくまでも昔のよその国の情景からは抜け出していません。
イタリアに住むユダヤ人の、大戦下の暮らしに興味のある方に。
出演:イザベラ・ロッセリーニ,ジェローン・クラッペ,ヴェロニカ・ニッコライ,ラーラ・カンポリ,エレナ・サフォノヴァ,ポール・ブルック,バルバラ・エンリキ
監督:アンドレア・フラッツィ,アントニオ・フラッツィ 2000年
BOSS的には・・・★★★☆☆
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