2011.01.18
The Birds 邦題:鳥
ヒッチコック監督の代表的サイコサスペンス。鳥の集団に襲われパニックに陥る人々を描いた作品。女流作家ダフネ・デュ・モーリアの同名小説の映画化。
サンフランシスコにあるペットハウスを訪れた新聞社の社長令嬢のメラニー・ダニエルズ(ティッピー・ヘドレン)は、ふとしたことから弁護士のミッチ・ブレナー(ロッド・テイラー)と出会います。
彼に「ラブバード」を届けようと車で2時間ほどの小さな漁村ボガデ・ベイに彼を訪ねます。そこで突然舞い降りてきた一羽のかもめに襲われます。
2、3時間の滞在の予定だった彼女でしたが、ミッチに誘われ街で知り合った小学校教師アニー(スザンヌ・プレシェット)の家に宿をとります。
翌日の屋外パーティの最中、子供たちと共に群れたかもめに襲われたミッチたち。そして夜には暖炉からすずめの大群がミッチ一家を襲います。
翌朝、農場を訪れたミッチの母リディア(ジェシカ・タンディ)は、鳥に襲われ死亡した農夫を見つけます。同じ頃、アニーが教師を務める小学校にも鳥たちが来襲。そしてそれを機に、町中が数え切れないほどの鳥たちに襲撃されます。
前半は、ありがちな恋愛と二人の周りの家族ドラマ仕立てなのですが、途中から状況は一変します。そのドラマと言うのがなかなか人の問題に深く触れていて、このあたりがヒッチコック作品と良くあるB級サイコ作品との違いでしょう。
しかし、わけもわからず鳥たちに襲われ、どうすることも出来ない恐怖というのは、映画を観ている私たちには、1羽の鳥を追い落とすことも出来ない歯がゆさとともに、椅子に縛り付けられます。これこそがヒッチコック風味なのです。
この時代の作品ですから、今時のよくできたVFX(CG)作品と比べればそのリアリティは皆無に等しいかもしれませんが、にもかかわらず鳥に襲われる恐怖とパニックは全く不足なく表現されています。さすがです。
そしてそのえもいわれぬ恐怖を、会話もなしに演じる役者たちの演技も素晴らしい。こういう心象表現は、普通の作品でも是非まねて欲しいところ。
そのためには5分のカットを一日がかりでとか、今時は予算の関係でそういうわけにも行かないのでしょうか?役者さんも昔みたいにしっかりと演技を学んでいない、ただの芸能人やお笑いタレントさんですから・・・。
興行的には本作の3年前に作られた「サイコ」を大きく上回る成功を収めた本作。ヒッチコックのキャリアの頂点となった作品です。
出演:ロッド・テイラー,ジェシカ・タンディ,ティッピー・ヘドレン,スザンヌ・プレシェット,ヴェロニカ・カートライト,エセル・グリフィス,チャールズ・マグロー
監督:アルフレッド・ヒッチコック 1963年
BOSS的には・・・★★★☆☆
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