2011.01.10

Movies

The Grapes of Wrath 邦題:怒りの葡萄

21世紀初頭のアメリカにおける搾取される労働者の悲劇と希望を描いたジョン・スタインベックの同名小説のモノクロ映画化作品。アカデミー賞監督賞・助演女優賞受賞作品。

アメリカ南西部のオクラホマ。国道66号線(ルート66)を一人歩くトム・ジョード(ヘンリー・フォンダ)は、刑務所を仮出所したばかり。トラックに乗せてもらった彼は、自宅に向かっていました。

the_grapes_of_wrath.jpg車を降り、歩き始めたトムは、かつては教会の説教師でしたが今は浮浪者となったケーシー(ジョン・キャラダイン)に出会い、共に故郷の自宅を目指します。

砂嵐の中、夜になってジョード家にたどり着いた二人でしたが、そこに明かりは無く空き家のようでした。中を調べると近所に住んでいたミューリイ(ジョン・クオウルン)が一人で潜んでいました。地主から生まれ住んだ土地の退去を命じられ家は壊され、西に向かった家族とは別に一人ジョードの家に寝泊りしていたのでした。

ミューリイから一家がジョン伯父の家に身を寄せていることを聞いたトムは、翌日4年ぶりに両親や祖父母と再会します。しかしそこも翌朝には立ち退きの期限となっており、一家は中古のトラックに家財道具一切を積み込み、一路「夢の」カリフォルニアを目指します。

小説を読んだのは大学1年生の頃でした。そもそもは社会派小説といいますか、資本家と労働者、搾取する側とされる側の問題を、労働者の立場から描いた作品で、根底には理想的な共産主義の思想が流れています。

一方映画作品の方は、このプロットにのっとりながらも、どちらかといえば家族愛の物語にシフトさせていて、小説を読んだときのようなタイトルどおりの矛盾した社会に対する「怒り」はかなり薄められています。

そういうことから、主人公はヘンリー・フォンダ演じる息子トムなのですが、一家の中心となるのはジェーン・ダーウェル演じるママですので、物語も彼女を中心に展開し、事が起こっても最終的に彼女のところに戻ってくるようになっています。

一家がオンボロトラックで西に向かうのは「ルート66」。JAZZのスタンダードで有名ですよね!映画ではこの道を「マザー・ロード」と呼んでいましたが、その後このルートの愛称となります。

作品中でも、何度も何度もこの「国道66号」の看板が現れるのですが、「マザー・ロード」と「ママ・ジョード」を重ねるにはちょっと演出不足だったかも?まあ、第2次世界大戦中の作品ですので。

古い映画ですが、是非一度ご覧ください。監督はかのジョン・フォードです。

出演:ヘンリー・フォンダ,ジェーン・ダーウェル,ジョン・キャラダイン,チャーリー・グレイプウィン,ドリス・ボードン,ラッセル・シンプソン,ジョン・クオウルン

監督:ジョン・フォード 1940年

BOSS的には・・・★★★☆☆

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