2011.02.17
DOLAN'S CADILLAC 邦題:ドランのキャデラック
人身売買組織のボスに妻を殺された男の復讐劇を描いたサスペンス。原作は、モダン・ホラーの勇、スティーブン・キングの短編。
夫婦で小学校の教師をするロビンソン(ウェス・ベントリー)とエリザベス(エマニュエル・ヴォージエ)。ある日エリザベスは、砂漠の真ん中で殺人と人身売買と思える光景を目撃してしまいます。
彼女が見たのは、ドラン(クリスチャン・スレイター)が取り仕切る人身売買組織の取引現場。警察では取り合ってくれないため、二人はFBIに相談し証人となることを約束してFBIの保護下に入ります。
しかし3ヶ月たっても一向に捜査は進展しない。ある夜、切れてしまった薬を購入しようと保護下のホテルを抜け出して車に乗ったエリザベスは、車と共に粉々に吹き飛んでしまいます。
殺害された愛する彼女のために復讐を誓ったロビンソンは、ハリー・キャラハンの44マグナムの3倍の威力のある50マグナム銃(S&W M500)を手に入れ、ドランを付けねらいますが善良な彼は「殺害」にためらい、逆にドランたちに半殺しの目にあいます。
まず個人的には、ウェス・ベントリーがどうも好きじゃない。悲劇のヒロイン、エマニュエル・ヴォージエも好みではありません。ということで、むしろ悪役クリスチャン・スレイターへの感情移入という立場で物語が進みます。こんな組織のBOSS、やってみたいなぁ~とか・・・(^_^;)
この辺のキャスティングというのは、もしかしたらキング作品の演出には逆に功を奏するのでは?
善良な教師であるロビンソン君、気持ちはわからないでもないが、君とは地球の裏表ほど違う社会通念や倫理観・正義感の世界に足を踏み入れることなく、過ぎ去ったことは忘れ、これまでどおり善良に行き続けたまえ!
と、ドランとなった私もそうささやくのですが、そこはキング作品。次第にロビンソンは狂気とも言える「復讐の階段」を駆け上って行くようになります。
この辺の階段の駆け上り方といいますか、狂気へ落ちてゆくさまがキング作品の面白さなのですが、そういう意味ではややソフィストケートされすぎていて、結局最後はロビンソン君は「いい人」のままで終わってしまってる。
まあ、興行収入のための柔軟材投入はいたしかたないのかもしれませんが、それでは世に残せる作品にはならないですことよ。
邦題には「スティーブン・キング」と冠しておりましたが、確かにそうじゃないと見ない人も多いだろうし、そう思って構えてみた人は、かなり大掛かりな肩透かしをくらう、そんな作品です。
出演:クリスチャン・スレイター,ウェス・ベントリー,エマニュエル・ヴォージエ,グレッグ・ブリック,エイダン・ディヴァイン,アル・サピエンザ
監督:ジェフ・ビーズリー 2009年
BOSS的には・・・★★★☆☆
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