2011.02.28
Evil Under the Sun 邦題:地中海殺人事件
イタリア半島沖のアドレア海の孤島でおきた殺人事件の謎に挑む名探偵エルキュール・ポアロの活躍を描いたミステリー。原作は、推理小説の女王アガサ・クリスティ。監督は007シリーズのガイ・ハミルトン。
イングランドの荒地で、婦人の死体が発見される事件が起こります。一方、ロンドンの保険会社を訪れた探偵エルキュール・ポアロ(ピーター・ユスティノフ)は、偽物の宝石に多額の保険金をかけようとしているホーレス卿(コリン・ブレークリー)の捜査を依頼されます。
早速ホーレス卿に面会したポアロは、結婚の約束をした女優のアリーナ (ダイアナ・リグ)に20万ドルの宝石を贈ったが、彼女が他の男と結婚したため返すように申し出ると、偽物を届けてきたらしい。
アリーナがアドリア海の孤島にあるホテルでバカンスを過ごすことを聞いたポアロは、列車で向かいます。
ホテルの女主人ダフニー(マギー・スミス)はアリーナのかつての同僚。ホテルには、引退を宣言したアリーナを再び復帰させようと目論むプロデューサーのオデル(ジェームズ・メイソン)とマイラ(シルヴィア・ミルズ)のガードナー夫妻、彼女の暴露本に近い伝記を出版しようとしているレックス(ロディ・マクドウォール)が先に到着。
他にも夫婦仲のいかにも悪いラテン語教師のパトリック・レッドファーン(ニコラス・クレイ)と妻クリスティン(ジェーン・バーキン)がいました。
そしてアリーナと新しい夫ケネス(デニス・クイリー)、夫の連れ子リンダ(エミリー・ホーン)の3人がホテルに到着します。
何日かが過ぎる間に、人々の感情はアリーナへの殺意へ向かい、クローズド・サークルの環境は整います。そしてある日、アリーナの死体が発見されます。
前作の「クリスタル殺人事件」から2年、4年前の「ナイル殺人事件」のポアロ役ピーター・ユスティノフを迎えてのポアロ・シリーズは、やはりコメディタッチ。そしてアングルもカットも、今回は最も映画らしいといいますか、まるで娯楽傑作007シリーズを観ているよう。ガイ・ハミルトンもあえてシリーズのテイストを封印することなく、自らの個性として映像化したのでしょうか?
小説と違って、映像作品となる本格推理小説は、犯人の痕跡をどれだけどのように露出させるかが、その作品の出来不出来にまで影響します。小説なら読者は何度でも読み返すので、かすかにしかし確かにどこかに埋め込んでおけばいいのですが、一方的に流れるだけの映画では、露出のさじ加減が難しい。
あまり露骨にやるとバレバレになってしまうし、かといって露出が小さいと「わかるわけないよ!」と距離を置かれて評価が下がる。
そういう点では、今回は「ナイル」よりもちょっと露出しすぎているような気もします。ジェーン・バーキンも2作共通の出演者ですね・・・。
原作はクリスティの「白昼の悪魔」。楽しい謎解きの2時間です。
出演:ピーター・ユスティノフ,ジェーン・バーキン,コリン・ブレークリー,ニコラス・クレイ,ジェームズ・メイソン,ロディ・マクドウォール,シルヴィア・ミルズ,デニス・クイリー,ダイアナ・リグ,マギー・スミス,エミリー・ホーン
監督:ガイ・ハミルトン 1982年
音楽:コール・ポーター
BOSS的には・・・★★★☆☆
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