2011.02.13
La Tigre E La Neve 邦題:人生は、奇跡の詩
「ライフ・イズ・ビューティフル」でアカデミー賞を受賞したロベルト・ベニーニが監督・主演のラブロマンス。テーマはもちろん「愛」です。
2003年、イラク戦争開戦直前のローマ。大学教授で詩人でもあるアッティリオ(ロベルト・ベニーニ)は、夜毎美しい女性ヴィットリア(ニコレッタ・ブラスキ)と結婚する夢を見ます。
彼女にぞっこんのアッティリオですが、ヴィットリアはつれない。彼の浮気性や一方的な思いにうんざりしていました。
一緒に暮らそうという彼の申し出に対し、彼の代表作である詩「虎と雪」(原題)になぞらえ、「ローマに雪が降って、そこで虎を見たら生涯を共にする」とはぐらかします。それは「奇跡」でも起きない限りありえないお話。ただの「詩」の一遍なのです。
一方、伝記作家である彼女は、彼の友人で著名なイラク人の詩人フアド(ジャン・レノ)の伝記を執筆中でした。しかしフアドは、苦境にある祖国を憂い帰国を決めます。そしてヴィットリアも彼と共にバグダッドへと旅立ちます。
ある日の深夜、フアドからの国際電話で飛び起きたアッティリオは、伝記を仕上げるために同行していたヴィットリアが爆撃を受けて意識不明の重体だと知らされます。
物語は意味不明なシーンからスタートします。トム・ウェイツの甘いバラードが、それが夢だと教えてくれます。そして現実は、とても詩人とは思えないような、おっちょこちょいの主人公。
何より、思いを寄せる彼女の前では、詩人のくせに言葉を失ってしまうあたりが、とってもチャーミングでとってもおかしい。
彼には二人の娘がいて、かつて同棲していた同じ大学の女教授もいるのですが、それらの関係性はあいまいなまま物語りは進行するのですが、ラストではすべてのジグソーピースがぴったりとはまります。
後半の舞台は、アメリカ軍が侵攻し混乱を極めるバグダッド市内なのですが、決して戦争自体を扱ってはいない。戦車や兵士たちは、アッティリオの奇跡を助ける脇役としてすばらしく配置されています。
美しいヒロイン、ニコレッタ・ブラスキはロベルト・ベニーニの奥さん。二人の息もぴったりです。それにしても、こんな作品をよく主演しながら監督できるもんだなぁ~。
映像自体が心持ち明るく作られているもの、ハリウッドらしからぬと言いますか、イタリア映画っぽい。そんな映像で迎えるエンディングは、ハンカチなしでは見られません。
のっけから、さまざまな伏線が埋め込まれていますので、ただのラブコメだとのんきに構えず、しっかりとご覧いただくと、ベニーニの仕掛けに圧倒されるはずです。
台所でかかっているTV映画が「夕陽のガンマン」、バカウケ!(^_^;)
日常生活ではどこにでもいるような一人の男。しかし「愛のチカラ」は、ただひたすら一生懸命なそんなダメ男に奇跡をもたらす。大人のための「シネマパラダイス」。私のようなダメ男に、勇気と感動と笑いを与えてくれる作品です。
この手の映画って、ツボなんですよね・・・
出演:ロベルト・ベニーニ,ニコレッタ・ブラスキ,ジャン・レノ,トム・ウェイツ,エミリア・フォックス,ジャンフランコ・ヴァレット,チアラ・ピーリ,アナ・ピーリ
監督:ロベルト・ベニーニ 2005年
音楽:ニコラ・ピオヴァーニ
作曲:トム・ウェイツ
BOSS的には・・・★★★★☆
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