2011.02.27
The Last of the Mohicans 邦題:ラスト・オブ・モヒカン
18世紀半ば、建国前夜のアメリカを舞台に、英仏の2大帝国の戦いに巻き込まれた先住民族のモヒカン族を描いたドラマ。
独立前夜の1757年アメリカ東部。2年前に起こったイギリスに抗するフランス軍・先住民連合との戦い、「フレンチ・インディアン戦争」により、砦を守って英軍を率いるマンロー大佐(モーリス・ローヴス)に会うため、娘のコーラ(マデリーン・ストウ)は妹アリス(ジョディ・メイ)と共に父の砦を目指します。
コーラは、護衛隊を指揮するるヘイワード少佐(スティーヴン・ワディンソン)にプロポーズされていましたが、答えを出せずにいました。
深い森の中を行く一行は、案内人だったはずのマグア(ウェス・ステューディ)の裏切りによりヒューロン族に襲撃されます。その時、モヒカン族の酋長チンガチェック(ラッセル・ミーンズ)と2人の息子、ウンカス(エリック・シュウェイグ)とホークアイ(ダニエル・デイ=ルイス)が現れ彼女たちを救いだします。ホークアイは、イギリス人開拓者の孤児で、酋長に息子として育てられたのでした。
砦まで一行を案内した彼らでしたが、コーラとホークアイは、お互いに惹かれあうものを感じていました。
しかし砦はフランス軍に完全に包囲され戦局は劣勢。応援部隊も来ないことがわかり、大佐はフランス軍の講和の申し出を受け入れ、砦を明け渡します。
砦を出て退却するイギリス軍と大佐の二人の娘たち。そんな彼らを、個人的な恨みをもつつマグアらが襲撃します。
アメリカ大陸における先住民族であるインディアンの悲劇を扱った作品は多いのですが、本作はちょっと時代と嗜好が違っています。
当時はまだ、英仏が世界の覇権を巡って争っている次代で、アメリカ自体がイギリスから独立しようとしている最中にも、局地的にはこのような両国の戦いが繰り広げられていました。
そんな戦争の惨禍に巻き込まれるのはいつも弱い人たち。先住民や入植者たちとその家族です。戦争は国家の威信や大義のために繰り返され、普通の人々の普通の生活が犠牲となってゆく。
本作には兄弟と姉妹のそれぞれの恋の行方も織り込まれ、ただの凄惨な悲劇に終わっていないところが救いです。
そしてこれには、マイケル・マンの手腕と言いますか、戦闘シーンでの効果音は「マイアミバイス」並です!撮影場所はよくわからないのですがものすごい景色が続き、人の醜い争いなどには動じない壮大さが映し出されます。
しかしそれだからこそ、その自然と調和して生きてきた先住民たちの尊さや、「ラスト・モヒカン」と言わせるチンガチェックの生き様をもっと深堀りして欲しかった。あと30分使ってもよかったのでは?しかし、3流の役者ばかりを集めた作品とは思えない厚み重みは出ています。
原作はジェイムズ・フェニモア・クーパーによる、1826年初版の長篇歴史小説。ちなみにホークアイらはモヒカン族と言われていますが、実際は違う種族であるモヒガン族らしい。
で、もひとつおまけに、今でもモヒカン族もモヒガン族も滅びてはおりません。
出演:ダニエル・デイ・ルイス,マデリーン・ストウ,ジョディ・メイ,ラッセル・ミーンズ,エリック・シュウェイグ,スティーヴン・ウォーディントン,ウェス・ステューディ,モーリス・ローヴス
監督:マイケル・マン 2004年
BOSS的には・・・★★★☆☆
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