2011.02.09
The Mirror Crack'd 邦題:クリスタル殺人事件
ロンドン郊外の村で起こった殺人事件を、ミス・マープルが解き明かすサスペンス映画。ご存知、アガサ・クリスティの原作「鏡は横にひび割れて」の映画化、監督は007シリーズのガイ・ハミルトン。豪華キャストの演技が楽しめます。
1953年、ロンドンから車で2時間ほどの静かで小さな村、セント・メアリ・ミード。週末の夜、教会で上映されていた探偵映画がクライマックスを迎えたその時、映写機の故障で上映中止となります。
一人の老婦人が、犯人を言い当てて席を立ちます。彼女の名はミス・ジェーン・マーブル(アンジェラ・ランズベリー)。独身生活を通してきた彼女は、編み物や刺繍、庭いじりしながらのんびり暮らしていましたが、推理好きで有名でもありました。
村では映画「スコットランドの女王メアリー」の撮影が行われており、久しくスクリーンから離れていた往年のスター、マリーナ・クレッグ(エリザベス・テイラー)、夫で監督のジェースン・ラッド(ロック・ハドソン)が屋敷に滞在していました。
ある日、その屋敷で街の人々を集めてのパーティが催され、ホステスのマリーナのもとにたくさんの人が挨拶に訪れました。その中に、かつて若い頃に彼女に会ったことがある話を一方的に語りかける女性ヘザー・バブコック(モーリン・ベネット) がいました。
その時、ディレクターのマーティ(トニー・カーティス)と女優でライバルのローラ(キム・ノヴァック)が到着。直後にソファーに倒れるように死んでいるヘザーの姿が・・・。
アガサ・クリスティについては、以前「オリエント急行殺人事件」でも触れましたが、エラリ・クイーンと共に、長編小説はそのほとんどを読破しました。「クリスタル殺人事件」なんてあったっけ?と思ったら、「鏡は横にひび割れて」なのですね!
ちなみにハヤカワ・ミステリの背表紙は、クリスティが赤、クイーンが青でした。
で、映画のほうですがこれは原作のもつ柔らかさといいますか、女流作家らしいしなやかな文体のまま、美しいイギリス郊外の風景の中で、殺人事件とは思えないほど穏やかに進行します。
ミス・マープル役のアンジェラ・ランズベリーは、同じくアガサ原作のテレビドラマ「ジェシカおばさんの事件簿」でブレイクした女優さん。でも個人的にはマープルはもっと老いたイメージがあって、ちょっとしゃんとしすぎ。
彼女のキャラのアピール度も少ないため、なんとなく物語は展開し、それとなくエンディングを迎えてしまう感じ。もう少し、途中に真犯人を示唆する宝物を埋め込んだら、変なサスペンス・カットを無理して入れなくても、作品自体のワクワク度も増したと思うのですが・・・
それよりも、エリザベス・テイラー 、トニー・カーティス、ロック・ハドソン、キム・ノヴァクといった、大俳優たちの個性的な演技を堪能することに気持ちを持っていったほうがいいかもしれません。
ジェラルディン・チャップリンはあの、チャールズ・チャップリンの娘さんです。あまりにも鼻が気になりますが・・・
お子様や心臓の悪い方などと共に、気楽に観ることのできる推理サスペンスドラマです。
出演:アンジェラ・ランズベリー,ジェラルディン・チャップリン,トニー・カーティス,エドワード・フォックス,ロック・ハドソン,キム・ノヴァク,エリザベス・テイラー,ウェンディ・モーガン,モーリーン・ベネット
監督:ガイ・ハミルトン 1980年
BOSS的には・・・★★☆☆☆
もっとムービー・アーカイブスはこちら >>> 「ムービー・インデックス」