2011.02.15
TOM DOWD & THE LANGUAGE OF MUSIC 邦題:トム・ダウド/いとしのレイラをミックスした男
ジャズやロックの世界では知らない人はいないレコーディング・エンジニアでプロデューサーのトム・ダウドの生涯を追ったドキュメント映画。
アトランティック・レコードのエンジニアとして、モノラルの時代からレコード製作にかかわり、21世紀までの半世紀に渡ってアメリカ音楽業界にその名を知らしめたトム・ダウドは、1925年にニューヨークのマンハッタンでコンサートマスターの父とオペラ歌手の母の間に生まれました。
高校時代にはコロンビア大学の物理学研究室に勤務し、広島・長崎の原爆開発であったマンハッタン計画にかかわります。
戦後退役し大学には戻らず、アルバイトで勤めていた振興のレコード・レーベル、アトランティック・レコードのエンジニアとしてのキャリアをスタートします。
1トラックから2トラックへ、そしてマルチトラックからデジタルへ。録音技術の進歩と共に、黒人音楽からポップス、ロックへと移り変わるアメリカ音楽界の主流の中で、つねにカッティング・エッジを走り続けた彼。
しかし以外にも、その根底にあるのは、純粋に「音楽を愛する心」と、それを創造しようとするミュージシャンたちとの心の交流でした。
アレサ・フランクリン、エディ・マネー、エリック・クラプトン、オールマン・ブラザーズ・バンド、コルトレーン、モンク、ジェイムス・ギャング、シェール、シカゴ、ダスティ・スプリングフィールド、デレク・アンド・ザ・ドミノス、ハービー・マン、リタ・クーリッジ、レーナード・スキナード、ロッド・スチュワート・・・
特に私の愛する、クラプトン、オールマン、スキナードなどの多くのアルバムを手がけています。
彼はエンジニアですが、小さなアトランティックではプロデューサーも兼任していました。しかしその音作りは、けっしてダウド・カラーを出すことなく、ミュージシャンの持つオリジナリティを最大限生かしきるというもの。
卓越した技術と、それを生み出すのが音楽が好きという意思とそれを持つ生身の「親父」だという事実。最近はデジタル技術の発達で、音楽作りも録音方法もおおきな変化を遂げましたが、結局行き着くところはミュージシャンと彼のような人間の「人間力」なのです。
2002年、肺気腫で他界。77歳でした。
出演:トム・ダウド,レイ・チャールズ,エリック・クラプトン,レーナード・スキナード,レス・ポール,オールマン・ブラザーズ・バンド,アレサ・フランクリン,フィル・ラモン
監督:マーク・モーマン 2006年
BOSS的には・・・★★☆☆☆
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