2011.03.31
Seven Years in Tibet 邦題:セブン・イヤーズ・イン・チベット
オーストリアの登山家と若き日のダライ・ラマ14世の心の交流を描いたドラマ。実在の登山家ハインリヒ・ハラーの実体験に基づく同名著書の映画化作品。主演はブラッド・ピット。
1939年秋、ナチス統制下のオーストリア。有名な登山家ハラー(ブラッド・ピット)は、身重の妻イングリッド(インゲボルガ・ダプクナイテ)の反対を押し切って、ペーター・アウフシュナイダー(デイヴィッド・シューリス)らと共にヒマラヤ最高峰ナンガ・パルバットの登頂を目指して旅立ちます。
登頂途中で雪崩に合い計画を断念した一行。しかし訪問地のインドを植民地としていたイギリスがナチスと開戦したことを受け、彼らは捉えられ捕虜収容所に送られます。
幾度となく脱走を試みるハラーでしたが、その度に連れ戻されます。そんなある日、母国に残した妻から離婚届が届きます。自暴自棄になるハラー。そして収容所生活も2年が過ぎようとしていました。
ある日、集団での脱走に成功した彼らはそれぞれ逃走。過酷な自然の中の逃避行に耐え二人は道行きで再会を果たします。
延々2年に及ぶ逃避行の末、外国人にとって禁断の地であるチベットのサラにたどり着いた二人。そこで上位の僧であるツァロン(マコ)に助けられ、二人はそれぞれチベット社会の中に自らの居場所を見つけてゆきます。
そしてハラーは、ダライ・ラマの母(ジェツン・ペマ)に呼ばれ、西洋文明に大きな興味を示すまだ幼いダライ・ラマ(ジャムヤン・シャムツォ・ワンジュク)への面会を告げられます。
と、ここまでは一人の登山家のたどった数奇な運命と、ダライ・ラマとの運命的な出会いを描いただけなのですが、やがて日中戦争が終わり中国は奥地のチベットを占領せんがため数十万の人民解放軍を送り込み武力制圧します。
この事件が最後に展開され二人の未来を決定することになるわけですが、決して「悪人中国」というプロパガンダではありません。
それでもエンディングには「100万人のチベット人が殺害された」というテロップが流れ、ここまでどきどきしながら観ていたかの国の方々は、きっと苦い思いをされたことでしょう。
ブラピは、相変わらずのあの雰囲気の演技ですが、こうしてみるとやはりなかなかの役者さんですね。そして現在の14世が見せるあの笑顔を彷彿させるジャムヤン・シャムツォ・ワンジュクの笑顔により、心温まる作品となっています。
雪を冠したヒマラヤに抱かれた天上の国チベット。美しい大自然とそこに営む宗教国家の人々。喧騒と共に押し寄せてくる暴力的な赤い旗。
右よりの方にということではなく、自然と調和して生きることをよしとする方に。音楽はジョン・ウィリアムスです。
これを機に、チベット問題を考えて見ますか?えっ?国内干渉?
出演:ブラッド・ピット,デイヴィッド・シューリス,B・D・ウォン,ダニー・デンゾンパ,ヴィクター・ウォン,インゲボーガ・ダプクテイナ,ジャムヤン・シャムツォ・ワンジュク,ラクパ・ツァムチョエ,ジェツン・ペマ
監督:ジャン・ジャック・アノー 1996年
音楽 ジョン・ウィリアムス
BOSS的には・・・★★★★☆
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